よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

創作メモ

いのり

霧の奥からやつらのいのりがあらわれた。

森の地理

森は 各地に散在しています でも ひとつの森に入ったら いちども抜けぬまま ほかの森に行けるのです そしてまた 森の 深い部分は どの地図にも のっていません 森はたくさんあり分断されていますがじつはつながっているのでいつのまにか別の森にいることもよ…

持ち物

タビビトはあまりモノを持たない。自分で運べるものだけを持つ。せいぜいタバコと筆記具とナイフとトランプ、何かの詩集くらい。

無意味

存在価値のないこと。タビビトはこの世に打ち込まれた「無意味」だ。

見る

タビビトは見るだけの存在。

オフィス列車

ご近所にある他の会社の社員が言っていました。 「ぼくの職場は列車の中の賃貸スペースにおさまっておるのです。現在どこを通過中か把握できていないと出勤できないのです」 「それはまたたいへんですね」

煙の傘

降りはじめのおだやかな雨ならたばこのけむりを傘がわり。

擬音製作機

世界をあやふやにしてしまえるマシン。

森の屋台本屋

おもに逢魔が刻ごろ販売員が猫のお面をかぶり、自転車に小さな書棚をくくりつけ、近所の森の中に出没いたします。なかなか恐ろしいと、森の住人の方々の評判をいただいております。もしも出会えたさいにはよろしく御贔屓に。そんな本屋の棚の中にはどんな本…

ハテのハテには

ハテのハテには 散々充 著 B5判 780頁 3800円 ボクはハテに行く! そう言って旅に出た少年の真意は? そして少年は宇宙規模の形而上学的戦争に巻き込まれる。 廃人たちが住まう「シティ」の謎とは? そこで出会ったもの言わぬ少女との交流。 少年はいつか…

博物学者

博物学者はパイプのけむりになってみたのか?

鉱物酒

鉱物のしぼり汁からつくったお酒はとっても貴重なんですよっ!!

妖精たばこ

紅き葉のさわさわ騒ぐふかき森妖精どものたばこ薫りし

海精石

暗緑色のうねるような模様が特徴の鉱物。深海の水が高圧でかたまったものとされかつて海底だった地からよく採取される。常にすこし冷っこく夏ふところにしのばせ涼とするため愛用する者が多い。なめるとちょっびり塩っからい。

たばこ工場

職人さんがいっしょうけんめい空気を集めて作ります。だからうす緑色した紙で包まれたこのたばこのけむりはふかい森の薫りとなるのです。

メダカ

水ぬるみなじみの川にメダカ群れふとよく見れば小さき人魚ら。

架空の書棚

「架空の書棚」カテゴリには、この世に存在しない(と思われる)本について書きます。 まあ、フィクションの読書感想文ってことですね。

ほどペンの世紀

ほどペンの世紀 うわのそら書房編集部・編 A4判 350頁 2800円 ものには「ほどほど」というものがあります。 身に合った以上のものを持っていてもあまり意味がないとは言えるでしょう。 ほどほどのもので充分。そうではあるのでしょう。 ほどほどのものの方が…

会議の風景

外からの光が磨りガラスごしにやわらかく入ってくる部屋で会議をしました。「…ということです」「ああ、かまへんやろ」「ああ、かまへんやろ」「ああ、かまへんやろ」社長が言いました。「まあ、てきとうに」だいたいいつもこんなもんですね。よく成り立って…

月の人

古き夜光あつまり人をなすあやしき笑みでもてなすお茶は。

早く帰りたいなあ…

休みが明けると仕事がたくさん待っていた。もちつきとか。会社の女の子と一緒に外から戻ってきたとき、会社の前に倒れていた「3分間王者」のこととか(女の子はあなたが挑戦するのですかとぼくを指さしたのでぼくはあわてて違う違うと首をふった)。全長1キロ…

移住の旅の途中で

民族大移動の旅をしています。その日も洞窟泊まり。でもいつの間にか近代的なホテルになっていたのですが。猫と子猫と鳩と雉と犬が仲間です。惜しい!桃太郎まであと一歩。子猫はテレビの上で鳩をかかえて眠り込んでいます。鳩は安心しきっています。愛らし…

漫才?

「家になんぼか邪魔なもんてあるよねえ」「うーん、よう言われるけどウチではやっぱジューサーやねえ」「ウチでは冷蔵庫やねん」「なんでまた。必需品やんか?」「うん。もうな、ずっと壊れてんねん」「なおさんかいっ!」「他には洗濯機」「それも壊れてん…

ぼくの城

城を作ったら「あなたの城にトラックバックがつきました」と携帯に連絡がありました。なんのこっちゃ。「同じですね〜」というような内容だった。どうやらユニット式の城で似たような組み合わせが発生するらしい。ぼくの城は3層構造で1階だけで全面積の7割…

オウム

夢を見ました。おいらはオウム。弱い鳥。どういう進化か、飛ぶことができないし足先がとがっていてまともに立つこともできない。そのかわり羽の先でものをつかむことができる。なぜか年中行事では主役らしい。王とともに牛に乗って練り歩く。宿泊の干潟で敵…

陶器

夢を見ました。3度目の夢です。宇宙空間から落下しています。これは焼き物をよりきれいにする手法で、摩擦熱でゴミを燃やし尽くしよりいい色にすることが目的です。焼き物を両手で持ち上げるようにしてまっさかさまに落ちるのです。落ちたときに割れないかど…

オフィス列車

ご近所にある他の会社の社員が言っていました。ぼくの職場は列車の中の賃貸スペースにおさまっておるのです。現在どこを通過中か把握できていないと出勤できないのです。それはまたたいへんですね。

アタゴオル

ますむらひろしさんの世界。猫と人が森の中でゆったり共存しています。ことに有名な猫はヒデヨシさん。身勝手でいやしくて、周りを振り回してばかりの迷惑な方ですが、彼がいるおかげで世の中が刺激的になるとも言えるのです。他に人間のテンプラさん、猫の…

店員採用基準

うわのそら書房では基本的に面接試験しかありません。しかしそれはただの面接ではありません。近所の森にある山荘で数日の間現在の面接官(なんて大層なもんでもないですが)と合宿して決めるのです。面接官にとってはレジャーに過ぎないのですが。選択基準…

夜の屋上はパラダイス

屋上へ。日課になっている。今は闇だ。手すりのまぎわから街をながめる。この辺にはあまり明かりがない。さみしげな街だ。「空からやと黒いシミに見えるんやろな」と思う。「廃墟…やもんな」たばこを灯す。けむりが白く流れ、闇を濁した。「ふう」意味のない…