よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「冥談」京極夏彦

【キャッチコピー】
なんだかこわいことがあったようなきがするなあ。

【評価】ふつう

【3つのポイント】
1.あんまり怖くない怪談集。
2.軽く書いている。
3.ふだんの中の小さな恐怖感を増大させたような話が多い。夜、鏡を見るとき、自分の後ろに他の人の顔が映ってたら怖いだろうなあと思う、そんな怖さ。

【よかったとこ】適当な感じのところがいい。

【いけないとこ】適当感を好めない人にはつらいかも。

【読了日】2011年06月06日読了

「サクリファイス」近藤史恵

続編の「エデン」を今読み始めたところ。

【キャッチコピー】ツールという魔物に魅入られた者たち。
【評価】よかった
【一行書評】ヨーロッパに渡っていたチカはすべてのロードレース選手の憧れツール・ド・フランスに挑む。
【この作品10の要素】
 ・ツール・ド・フランス
 ・過酷なレース。
 ・さまざまな駆け引き。
 ・さまざまな選手たち。
 ・彗星のようにあらわれたフランス期待の新人選手ニコラ。
 ・ニコラと親しくなるチカ。
 ・ニコラの呪い、チカの呪い。
 ・ごく並の選手であるチカにとってのツール・ド・フランス
 ・ドーピングの暗雲。
 ・前の巻ほどではないがラストに泣ける。
【気に入ったとこ】自転車。ツールの雰囲気。
【気に入らなかったとこ】特になし。
【名言】「まるで呪いだな・・・・・・」「呪い?」「彼女のライオンのことを思うと、ぼくはこの先、怪我をすることも薬物に手を出すことも、辞めることもできないじゃないか」
【読了日】2011年05月30日


近藤 史恵
新潮社
発売日:2007-08

自転車ロードレースの世界を描くミステリ。

若手のロードレーサー白石誓(通称チカ)は勝利に執着できない。
ロードレースの、勝たなくてもチームに貢献できるところに惹かれてこの世界に入った。
逆に、そのチームの寡黙なエースは、他の選手のあらゆる犠牲を踏み台にして勝利し、君臨してきた。
しかし、周囲には彼を恐れているような雰囲気があった。
何かの事件を起こしているらしい。
その事件の真相は?
そして、エースの真意は?

最後にかなしいまでの「サクリファイス」が見えてくる・・・

(2010年01月22日読了)


サクリファイスについての簡単なリストを下に置きます。

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「焔の中」吉行淳之介

火曜日にはなにか「火」について書きましょう。
今回は吉行淳之介さんの「焔の中」について。

吉行淳之介さんの作品はエッセイや対談も含めてほぼすべて読んでいると思いますがその最初の一冊がこれ。
ここでシンパシイを感じたからその状況に至ることができたということでしょう。

吉行淳之介さんの(おそらくは)ある程度自伝的な青春小説だと言えるでしょう。
入門編としてはよいと思います。
どこにシンパシイを感じたのか考えてみて、中に空襲を受けたときなぜだか理由はわからないけどレコードを、ドビュッシーピアノ曲全集を抱えて逃げたというくだりがあったように記憶しています。
そこに惹かれたかもしれません。
そういうときにそういうものを持って逃げる人間でありたいと。
もちろん作品全体の雰囲気や文章も気に入ったでしょう。

ちなみにボクもドビュッシーピアノ曲全集も管弦楽曲全集も(レコードで)持ってます。
ボクはどっちかいうと管弦楽曲全集を持って逃げたい派でしょう。
どーでもいいことですが。

作中の「焔の中」という表題章は短編として扱われていることもあります。
吉行さんの作品の一部分を取ったら短編として読めるということは多いと思います。
長編も短編の集まり、根っからの短編作家なのかもしれません。

読書感想のフォーマットを作ってみようかと思った

このブログも結局のところ読んだ本についての記述が多いのでもっと自動的に読書感想文を書けるようにしてもいいかなと思う。
今は「ブクログ」を利用しているので、読書中に「はてな」で書いて、それをブクログにコピーして、あちらでアフィリエイトに直して、「はてな」に戻す。
で、そのフォーマット案を少々。

案A

【本の帯】
【キャッチコピー】
【評価】すばらしい よかった ふつう いまいち つまらない
【この作品10のポイント】
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【気に入ったとこ】
【気に入らなかったとこ】
【名言】
【読了日】年月日

  • 「本の帯」というのはよく本に巻かれている説明用の細長い紙です。気が向いたらそれっぽいのを作ってみようかと。
  • なんで「10の要素」なんてのがあるかというと、ものごとから10個の要素を取り出すあるいはひねり出すというのはなかなかしんどいことで、その過程でおもしろい発想、あるいは無意識に感じていたけど意識化はできていなかったことなどが浮かび上がってくることがあるから。
    • あと、10項目くらい要素が並んでいたらあとから自分でどんな本だったか思い出しやすいだろうと思って。

案B ふつうに

【内容】
【評価】すばらしい よかった ふつう いまいち つまらない
【読了日】年月日
【感想】
【引用】

案C 100質問的に(10質くらいかな?)

※ 内容未定

「GOSICK」桜庭一樹

【本の帯】

【キャッチコピー】揺れ動く世界のなかでかがやいたひととき。

【内容】まっすぐな少年とちっちゃくて賢くて老成している謎の美少女ヴィクトリカがさまざまな事件に共に対することによって絆をふかめていく。

【10の要素】
 ・1924年から始まる物語。
 ・アンティークドールのような美少女が謎を解く。
 ・老成してクールでちっちゃな美少女が魅力の大半。
 ・謎は提示されるがミステリというほどのものではない。一種の冒険ものといえるか。
 ・少年少女の絆。あるいはラブストーリー。
 ・ヴィクトリカという存在の謎。
 ・つんつん頭の警部さん。
 ・密室殺人の謎から続く幽霊船の謎。
 ・占いが信じられる理由。
 ・猟犬と野兎。

【得したこと】わりといごこちのよい世界です。ゆっくり読みました。

【損したこと】アニメの方がモノとしてはデキが良いのではないかと思われます。キャラもアニメの方がそぐってる。小説はアニメよりわかりにくい感じ。ゆえにアニメは補完とはなりそう。もっともボクは先にアニメを観てしまっていたのでイメージがそっちで固定されてしまいました。

【名言】〈自分より弱いものを、守れ〉〈自分も弱くても、無理して守れ〉(p.218

【評価】ふつう

【読了日】2011年05月12日


この作品についての簡単なリストを下に置きます。

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本は旅をする

ブッククロッシングの話ではありません。
ありませんが、似たようなものかもしれません。

本というのは旅をするものだと思うのです。
旅をしたがっているのだと思うのです。
なるべく多くの旅を。
旅とはいまここでない場所に行くこと。
本にとって人に読まれることが旅か。

なるべく早く旅立たせてあげたいとも思うのです。
今ボクの手元にあるのは仮の宿り。
ボクが死んだら、あるいは気まぐれで、あるいはお金に困って。
いつかは旅立ち他の人の手に渡る。
古本屋を宿としながら。
図書館の本なら小さな旅を繰り返しているということでしょうか。

そんな旅をつづけるうち擦り切れていく。

消滅するまで旅をつづける。
うっかり焼却場に直行してしまうこともあるかもしれません。
みずからの移動手段を持たない本は捨てられ落っことされ場末の雨に壊れてしまうかもしれません。
そんな旅の終わりまで。

「マヌの法典」(岩波文庫)

折にふれてちょろちょろ読んでます。
が、通しで全部読むということはしないと思う。
インド(ヒンドゥー)の規範の大元という感じでしょうか。
「へぇ」があっておもしろくはあります。

(全体のほんの一部ですが)これまで読んだ感じではあらゆることが「系」としてとらえられているのかなとは思います。
まあ法律というのは元来そういうものなのでしょうがボクら現代日本人にとっての法はまず「個人」でありその個人がどう他とつながっていくべきかというようなものなのでしょう。
でも「マヌの法典」ではまず「系」があり各自はその構成要素のひとつにすぎないという雰囲気でしょうか?
構成要素それぞれは系の維持のためにどうしたらいいか。
系の維持のためには個は犠牲になっても問題なし。そんなふうな。

現代人たるボクにはそれがいいとはとても思えませんがボクらは個というものを重視ししすぎているきらいがあるかもしれません。
だから生存が難しくなっていく。
自分のことはすべて自分の問題であり自分で考えけっきょくは自分の責任であるから。
自分の生存意義を自分でつくりあげなくてはならないから。
系の維持という基準があると生きやすくはなると思います。
そして社会全体としては安定しやすいとは思います。
個人としては理不尽な圧迫が生じるでしょうが。
しかし個を前面に押し出してしまうと価値観が人の数だけ存在することになり当然安定しにくい。

「マヌの法典」での最小の系は「家(血)」というような感じでしょうか。
「まずみんなで家族をたいせつにしようよ」というていどにとどめておけば現在でも使える考え方かもしれませんね。