よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「焔の中」吉行淳之介

火曜日にはなにか「火」について書きましょう。
今回は吉行淳之介さんの「焔の中」について。

吉行淳之介さんの作品はエッセイや対談も含めてほぼすべて読んでいると思いますがその最初の一冊がこれ。
ここでシンパシイを感じたからその状況に至ることができたということでしょう。

吉行淳之介さんの(おそらくは)ある程度自伝的な青春小説だと言えるでしょう。
入門編としてはよいと思います。
どこにシンパシイを感じたのか考えてみて、中に空襲を受けたときなぜだか理由はわからないけどレコードを、ドビュッシーピアノ曲全集を抱えて逃げたというくだりがあったように記憶しています。
そこに惹かれたかもしれません。
そういうときにそういうものを持って逃げる人間でありたいと。
もちろん作品全体の雰囲気や文章も気に入ったでしょう。

ちなみにボクもドビュッシーピアノ曲全集も管弦楽曲全集も(レコードで)持ってます。
ボクはどっちかいうと管弦楽曲全集を持って逃げたい派でしょう。
どーでもいいことですが。

作中の「焔の中」という表題章は短編として扱われていることもあります。
吉行さんの作品の一部分を取ったら短編として読めるということは多いと思います。
長編も短編の集まり、根っからの短編作家なのかもしれません。