よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

革製透明鞄

夢をみた。

父親へのプレゼントに透明鞄を選んだ。
他の人のアドバイスもあって。

これは革製なのだが、ひたすら薄くする技術に特殊な加工を組み合わせて完全とは言えないまでもほぼ透明になっている。
ビニールのように光らないので安っぽさが少ないし、目立たない。
薄くておそろしく軽く、カラだと持ってるか持ってないかのわからないくらいだが見た目よりは丈夫だ。
中が見えると困る場合もあるのだが、普通に使う分には透明なのはけっこう便利なのだ。

入れ方によってデザインが変わるとも言える。
うまく使えばおしゃれな感じにできるだろう。

「神戸鞄」というとこがつくっているようだ。
実際にあったらごめんなさい。
その名のとおり神戸にある会社のようだ。

「mors3023」とかいうコードがついていたのだが、別名「王様カバン」。
おそらく「裸の王様」の服からとっているのだろう。
鞄には実体があるのだけど。
夢にしてはよくできたネーミングかも。

贈られた父親は「使う機会がないぜ」というような顔をしていた。

雪を昇る

夢をみた。

社内旅行だ。
その日の旅館は広かった。
なんだかいろいろあったような気がするが忘れてしまった。

夜になった。
雪が降りはじめたのでウキウキして出ていった。
ふと見上げると暗い夜空の空中でまわしいっちょうの相撲取りが大勢ダンスを踊っていた。
  (これは何かのCMの記憶が出てきたのだろう。)

「アンタかて空に浮かべるんやで」と誰かが言った。
「雪踏んで階段のように上がっていけばエエんや」
へぇ、やってみようかな。
「でも、あのダンスのステップでないとアカンねん」

しかたないので、ふにー、ふにーと踊りながら雪を踏んでみた。
そしたらたしかに一段上がれる。
次の雪を。
次の雪を。

しだいしだいに高くなる。
50メートルくらい浮かび上がったところで少々怖くなる。
うっかり踏みそこねたらまっさかさまやなあ。

少しずつ移動して大きな木の上あたりまでやってくる。
上から見下ろした木には雪が積もりつつあって美しい。
この位置ならもし落ちても木にひっかかるやろう。
そう思ってる。

異界の子ども演劇

いろんなレシートなどにポイントがついていることに気がついた主人公。
集めていった。

たまったポイントでとある場所に入れる。
銭湯のような雰囲気。

和風なつくり。
つやつやした板の床。

そこにはいろんな子どもたちがいた。
それぞれちがう世界の子。

中に美少女。
背が高い。
親しくなる。

主人公は帰れないチケットらしい。
が戻ることに成功。
戻らねばならない事情が生じて。
しかし人形になってしまった。

今度はどうやって舞台に戻るか考える。
ピンクのイモリが現れた。

逆行

自転車で家に帰ろうとしていた。
ふと登山用具をひとつ買わなければならないことを思い出した。
山屋さんは正反対の方向にある。
自転車をUターンして逆に走り始めた。

でも
このまま山屋さんに行ってしまうと時間までに家にたどりつけない。
そこまでして手に入れなければならないものか?
そんな疑問を感じながら走っているのだが、
なぜだか急に歩行者がいっぱいだった。
みんなこっちの方角に向かってきている。
なんだか走りにくいなあと思っている。

夢で死んだら

夢の中で死ぬことはできないと聞いたことがある。
でもこれまでに3度夢で死んだ。

一度は高いところから落ちて。死ぬ直前、夢で死ぬことあるんやと思った。
一度は背後からナイフで刺されて。
もう一度は・・・忘れてしまった。

いずれも死んだ瞬間に目が醒めた。
その意味ではやはり死ねないのかもしれない。
どうやら死後の世界には行けないらしい。

いや、そんなこともないか。
死後の世界に行ったことはあったのだった。
死んだシチュエーションはなく、いきなり死後だった。

夜だった。
おそらく永遠に明けない夜で、世界じたいが闇なのだった。
しずかな雨が降っていた。
どうやら深い森を縫う径の途上にぼくはいた。
闇を吸って生きている木々。
この時点でここが死後だとは気づいていた。

歩かなければならないのだがなんだかからだが重かった。
そしてひたすら寒かった。
それでも歩くのだ。
ライターで爪を燃やしその灯りでかすかに照らしながら。
ホンマに爪に火を灯してやがると思いながら。

この長い道程は現実のぼくに影響をすこし傷を残すほどだった。
少しくらいしんどいことがあってもアレよりはマシだなと思えるていどに。
とにかくひたすら長くて辛かった。

やがて大きな室のようなところに出た。
ここなら雨も防げるとホッとした。
中ほどに行くと床でなにやら白いものがたくさん蠢いているのに気付いた。
それは、人間たちだった。
死者たちだ。

「どうやらオレもこの仲間入りか」
そうつぶやいて腰を下ろす。
たばこを取り出して火をつける。
ぼくは高校生の頃からすっているので、それ以後に見た夢なのだろう。
「ふぅ」と息をつく。

そばにいた少女が「あたしたち死んだの?」と聞いてきた。
「そうみたいやね」
不安そうにすがりついてくるので抱きかかえぼくらはじっとしていた。

どうやら室の先にまだ道は続いているようなのだが行くべきかどうか思案している。

というあたりで目が醒めたのだと思う。
夢を見た直後のメモにはそこまでしか書かれていないので。

蛇の島

夢を見た。

そこは蛇の島だった。
白蛇族と黒蛇族がいた。
蛇たちはふだん人間の姿で暮らしている。

白蛇は華奢で弱いが、美しく、不思議な予言の力があった。
黒蛇は強く、白蛇を護る任務を与えられていた。

ぼくは島に立ち寄った人間で、あちこち散策したがときに黒い尻尾をちろちろ見かけたような気がする。
警戒されていたのだろう。
ちょっと不気味だったのは魔王の顔のように見える岩の口元から黒い舌のようにのぞいていたときだった。

折しも、島をずっと率いていた長老が亡くなり、その孫が新たな長に任じられた。
「姫」と呼ばれていた。
彼女の巫女としての能力はズバ抜けていたが、人間の青年と恋をしているらしかった。
べつにタブーではない。

だがそれが不満だったのか、黒蛇族は彼女の元では働けないと島を出ていく。
何者かにそそのかされたようでもあった。

その夜、黒い衣装を身につけた一団は怖い顔をしてザッザッと通り過ぎていった。
近寄れない雰囲気だった。

蛇たちは人のとき、細長くフタのない石の箱の中に数人ずつ入り仰向けに眠る。
うつ伏せに眠ると死ぬらしい。

黒蛇たちが出ていった翌朝、姫と同じ箱で眠っていた女官たちが全員うつ伏せにされて死んでいた。
憎しみにとらわれた黒蛇たちのしわざらしかった。

姫は悲しんでおり、その横で彼女の恋人が慰めている。

ぼくは、この物語、今後どう展開していくのだろうかと考えていた。