よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

蛇の島

夢を見た。

そこは蛇の島だった。
白蛇族と黒蛇族がいた。
蛇たちはふだん人間の姿で暮らしている。

白蛇は華奢で弱いが、美しく、不思議な予言の力があった。
黒蛇は強く、白蛇を護る任務を与えられていた。

ぼくは島に立ち寄った人間で、あちこち散策したがときに黒い尻尾をちろちろ見かけたような気がする。
警戒されていたのだろう。
ちょっと不気味だったのは魔王の顔のように見える岩の口元から黒い舌のようにのぞいていたときだった。

折しも、島をずっと率いていた長老が亡くなり、その孫が新たな長に任じられた。
「姫」と呼ばれていた。
彼女の巫女としての能力はズバ抜けていたが、人間の青年と恋をしているらしかった。
べつにタブーではない。

だがそれが不満だったのか、黒蛇族は彼女の元では働けないと島を出ていく。
何者かにそそのかされたようでもあった。

その夜、黒い衣装を身につけた一団は怖い顔をしてザッザッと通り過ぎていった。
近寄れない雰囲気だった。

蛇たちは人のとき、細長くフタのない石の箱の中に数人ずつ入り仰向けに眠る。
うつ伏せに眠ると死ぬらしい。

黒蛇たちが出ていった翌朝、姫と同じ箱で眠っていた女官たちが全員うつ伏せにされて死んでいた。
憎しみにとらわれた黒蛇たちのしわざらしかった。

姫は悲しんでおり、その横で彼女の恋人が慰めている。

ぼくは、この物語、今後どう展開していくのだろうかと考えていた。