よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

ある鞄の一生

夢をみた。青年の特注品だった革の鞄は必要なものがすべて入りカユいところに手が届くお気に入りだったがあるとき後輩にだまされ奪われた。「先輩は五年間この鞄と付き合ってきたのだから、もう僕がもらってもいいはずです」とかなんとかわけのわからないことを言われ。そのまま海外に移住した後輩はのちに著名なライターとなり死後の回顧展で「苦楽を共にした相棒」として展示されていた鞄を過去からタイムトラベルしてきた青年が見て「僕のやったんやけどなぁ」とつぶやいた。過去に戻ると旅行中に知り合った実業家の老人が「鞄を取り戻してきてやる」と海外に行く準備をしているところだったがお付きの秘書たちが身体を心配して一所懸命止めようとしていた。