よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「ファンタージエン〜秘密の図書館〜」ラルフ・イーザウ

ファンタージエンの8つの要素

「しかし、これですべてだと思ってはいけない」

古本屋の面接に行ったカールはその店を譲り渡されてしまう。
店の奥には異世界ファンタージエンの不思議な図書館があった。

そしてファンタージエンに存亡の危機が訪れていることを知る。

エンデの『はてしない物語』前史。
少年が本を手に入れた古本屋の若い頃の話。

元の作品よりもおもしろいとは言えると思います。

(2006年03月29日読了)


ファンタージエンに関するはてしないリストを下に置きます。


【愛すべきことば】ロミオ・オラトーレ著の15編のソネットが書かれている本。その重さゆえ空中楼閣は墜落しそうになった。《作品の偉大さは使われた紙の量で決まるもんじゃない》(p.399)
【アツメカラス】図書館に自由に出入りする鳥。空気中のポレンを集めて来る。それが本になるのではないかと言われている。
【アマルガント図書館】ファンタージエン図書館の分館のひとつで、アクイルとムクアが作った。
【アルファベガ】本名アルファベータガンマ。ファンタージエン図書館の一番古株の助手。小人(本人によればヨミキリ族)。黄色い尖った帽子をかぶっているのは頭も尖っているから。
【イケイケ】けなげな伝書グリフォン
【イスカールのコンパス】雲霞(クルムス)王のコレクションのひとつ。狙った相手をどこまでも指し続ける。
【イマジナリア】想像の中にしか存在しないものや、ごく短い間しかこの世に存在しないはかないもの。空中楼閣の雲霞(クルムス)王自慢のコレクションはそういったものを固定するための技術開発による。イマジナリアが消えた後「虚無」となるものがある。
【インク竜】その力を借りると読んだ後消えてしまう文字を書ける。
【ヴィンディヒ】トルッツ氏の公証人。
【エルフェンバイン塔】白のエルフェンバイン塔。幼ごころの君が住んでいる。象牙でできている。
【狼】千年以上ファンタージエン図書館にはあらわれていなかったが一匹巨大なのが現れた。黄緑色の目。
【幼ごころの君】ファンタージエンを統べている少女。見た目は10歳くらいだが実は誰よりも年寄り。そのため息は世界じゅうに鳴り響く。さまざまな呼び名があるらしい。たとえば「叡知の子」「望みを統べたもう金の瞳の君」「女王さま」。
【オトナシ】巨大ネンチャク。
【カール・コンラート・コレアンダー】主人公。引っ込み思案なら誰にも負けないメガネ青年。あまり細目ではないらしい。本が大好き。トルッツ氏の古書店の面接に来た。本の価値を匂いで嗅ぎ分けるタイプ。「おまえにはできっこない」と父親に言われ続けてきたせいで自信のない男に育ったらしい。
【カイロン】ファンタージエン一番の医師。黒ケンタウロス
【鏡張りの蜂巣】期待の家にある一室。鏡に写るいくつかの自分の姿から好きなものを選ぶことができる。
【書かれなかった本のコーナー】ファンタージエン図書館の一区画。作者の頭の中でどんどん膨れ上がっていくうちに作者に何かあって書かれることなく終わった本のコーナー。駄作も多そ。
カササギ】夜の町クスネルの実質的なボス。
【カモフラージウス】身代わり童子の一人。
【カルニッケ族】キツネ狩りで生計を立てているウサギ。
【記憶】人の子がファンタージエンで創造の力を働かせるとき記憶をその源とするのでいずれかの記憶が失われてしまう。
【期待】《期待が持てれば、現実も少しはましに見えるものよ、カール。それが本物かどうかは問題ではないわ。心が踊るかどうかが大事なの》(byマホラマp.169)
【期待の家】魔女マホラマがいるらしい。とにかく期待に応えてくれる家。
【巨大ネンチャク】殻つきの巨大なカタツムリのような生物。無数の足で移動するが粘膜によりエサを取り込むのでネンチャク。その殻は動く家と言える。
【虚無】ファンタージエン図書館から紛失した本のあった空間はあらゆるものを吸い込む虚無となった。虚無は欲深いのでいずれファンタージエン全体を飲み込んでしまうかもしれない。
【空中楼閣】空高く浮かぶ美しい宮殿。カルハズミ族がいる。王は雲霞(クルムス)。石造に見えるがいぐさを編んで壁を作り妖精の息を凍らせて窓とした。
【クスネル】夜の町。見つけるのはとても難しい。
【クトピア】ケロラートの娘。二十歳くらいですらっとしていてかわいらしくて勝ち気で自信満々。
【クナル】根生やし巨人。カールを助けてくれた。
【クナルツ】ファンタージエン図書館の番人をしている樹皮トロル。
【グモルク】名を失った別世界からきた狡猾ないきもの。「さすらい人」と呼ばれさまざまな世界を行き来できる。ゴーガムに仕えるようになった。
【雲霞(クルムス)四十九世】うわべだけのものや、はかないものだけを集めている軽さにすべてをかけている人物で空中楼閣の王様。
【黒真珠】カールがファンタージエン図書館で手に入れた真珠。誰にも渡したくないと思った。
【黒のエルフェンバイン塔】盗まれたノックスがあるとされる未完成の塔。塔の主はサイーデ。白のエルフェンバイン塔とそっくりに作られている。絶望の岩砂漠と死の山脈に接するつるつるの粘板岩でできた丘陵に立つ。その丘陵は摩擦係数がとても低く、滑ったら「奈落の裂け目」に墜落することになる。
【クワシニア】忘れられた記憶たちの国。ファンタージエンの外にある。この作者の他の作品にそんな国が出てきたような。
【クワルツォッテ】細い虫。気に入った木を排泄物で石に変えてしまう習性を持つ。
【ケロラート】ファンタージエンで最も有名な地図製作者。最近では機械仕掛けの幸いの竜を作った。
【ゴーガム】悪意に満ちている言うだけでは足りない存在。「偽り」「憎しみ」「怒り」「諍い」「欲望」の五つの顔を持ち総称して「言語道断」と呼ばれる。
【サードメ】髪の毛のかわりにつる草がぼさぼさにはえている人。石の森に呪いをかけた。
【サイーデ】女魔術師。幼ごころの君の姉。黒のエルフェンバイン塔の主。現在は「見える手」と呼ばれる魔法の城ホロークに住んでいる。中身のないものならなんでも操ることができる。
【時代】この作品開始時の舞台は1938年のドイツ。
【樹皮トロル】ゆっくりしゃべる。歩くことができる。
【署名のない書類】署名がないので効力は持たない書類。カールがコレクションしている?
【白のエルフェンバイン塔】→エルフェンバイン塔
【スクルザート】森の精。悪事が大好き。マンドラゴラの根から生まれた。弓の名手。こいつを使っている主人がいるらしい。
【デーイサ】名前からわかる。○○さんの鏡像。
【伝書グリフォン】頭が鷲で胴体が獅子で翼があるやつ。竜とどっちが乗りやすいのでしょう?
【どこにもない山】別名迷いのぼた山。外国で思いつかれたが迷いのせいで実現されなかった思いが降り積もって山となった。
【外国(とつくに)】ファンタージエンの生きものたちはおおむねわれわれの世界をこう呼んでいるようだ。
【トルッツ】タデウス・ティルマン・トルッツ。古書店のあるじ。後継者を探している。本の価値を音色で聞き分けていた。
【奈落の裂け目】ファンタージエンを二つに切り裂く峡谷。落ちて戻った者はいない。
【根生やし巨人】木のような巨人。樹皮トロルの親戚ではあるが歩くことはできない。
【ノックス】なんでも闇や色や冷気を吸い取り暖かい純粋な光を残すアイテムらしい。そのそばでは白より黒いものは存在しなくなる。模型からすると人間の手首から先にそっくりの形状。遠吠え山脈の小人から何者かが盗みカササギ親分が欲しがっている。
【ハイデ・ホレ】ホッテのかみさん。しっかりもの。
【はしたない物語】「はてしない物語」がなったかもしれない物語。どんなんになったでしょう?
ファンタージエン】まあなんというかいろいろとおもしろい世界。幼ごころの君によって統治されている。善によって悪が、悪によって善が存在し、光によって闇が、闇によって光が存在する。ファンタージエンの住人は自分で名前を付けることができない。すべての名前はもとは人の子がつけたもの。
ファンタージエン図書館】トルッツさんの古本屋の奥にある図書館。ひどく本好きの者しか入れないマニアックな場所。ここの本は光で作られている。
【フッフール】有名な「幸の竜」。白とピンク色の真珠貝のような光沢があるらしい(少なくとも彼を模したマシンはそうなっている)。映画でおなじみの彼ですね。たくさんの伝説に包まれている。
【雰囲気対流原動機】幸の竜が飛べる原理。
焚書】当局はときどき古書店を検閲し、「退廃した」本を取り上げ燃やしてしまう。
【偏見】《カールは、偏見が日常茶飯事の世界からやってきたが、自分だけは偏見の虜にならないとずっと思ってきたのだ。》(p.163)すんごい思い上がったカール。人間には無理だって。
【忘却の森】根生やし巨人たちはアムネメの森と呼んでいる。森の精でも入るのは後込みしてしまう恐ろしい場所?入る者はすべてを忘れ自分の内なる迷路に迷い込む。ただしせかせかした者だけ。森の精や人間はその部類。
【ホッテ】ホルッツ・ホレ。ホッテは呼び名。トルッツ氏の古書店のお隣さん。
【ポレン】ほこりのことだが単なるほこりではなく、記憶のようなものか。
【マホラマ】期待の家にいる魔女と言われている女。
【マヤカシ】身代わり童子の一人。
【マリー】トルッツさんの亡くなった妻。
【身変わり童子】どんな姿にでも化けることができる。本当の姿は毒々しく輝く紫色の肌で目が異様に大きな小さな子ども。
【海泡石(メシャム)パイプ】何かの役に立つことがあるらしい。カールがトルッツさんからもらった。永久に火が消えないという便利な代物。
【森の精】ファンタージエンでは会わないにこしたことはないイヤな存在。
【ラルフ・イーザゥ】著者。この人本好きですねえ。
【ルックス】ノックスと対の存在。ゴーガムがグモルクの魂を閉じこめるために作った。白い手の形をしている。
【ン!ビルストボル】空中楼閣の儀典長。お客さんの案内する役目を王様と争っている。