よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

2004-06-23から1日間の記事一覧

なつかしむひと(2)

なつかしむひと〜中村眞一郎(中村真一郎)・四季〜(1)かれは回想の語り手でした。(ノオトA)(ノオトA) 絶えることなく「現在」が「過去」となって消えていきます。 瞬間瞬間に味わった体験が、どこかにひっかかってしまったものを記憶(a1)というならば…

死の側から見た生の思い出(2)

(1)「菜穂子」はどこかちがう 堀辰雄さんの作品をはじめて読んでから、もうずいぶんになります。近しさを感じたものです。 でも、近親憎悪という感覚も同時に味わいました。眼をそむけても見えてしまう少女趣味じみたものをイヤだと思いつつ、やっぱりどこか…

クールにいこう(1)

(1)森博嗣さんのミステリの魅力とは? 森博嗣さんの魅力はなんでしょう。 ミステリとしておそろしくすばらしいかといえば、そうでもないでしょう。水準以上だとは思いますが。 物語性があるとかストーリーがすばらしいとか、そういうこともないでしょう。 文…

『四季〜秋〜』森博嗣…講談社NOVELS(800円)273頁初2004年01月08日・了{評}【ミステリ・小説】

また、例によって逐時的に書いていきます。S&Mシリーズ最終話の、数カ月後。 久々に西之園萌絵と犀川創平のコンビ登場。 「愛情なんて、どこからだって芽生えます。何かがこすれたときに発生する摩擦熱みたいなものです」(p.35) 萌絵さん、めずらしくさえて…