よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「鬼籍通覧」椹野道流

あるいは著者が最も書きたかった作品かも?という気さえします。

舞台は法医学教室。
著者と同じ商売ですね。
奇談シリーズの龍村大センセと同じ商売でもあります。

当然ながら死体のオンパレードであります。
楽しいですね…
 
ドクター・クインシーやったかなあ、鑑識医が事件を解決するアメリカの連続テレビドラマがありましたが、その面白さを思い出しました。
関係ないけど「ロックフォードの事件メモ」とか「白バイ野郎ジョン&パンチ」とか「刑事スタスキー&ハッチ」とか、あの当時、その手の面白い輸入ドラマがけっこう良かったんですけど、最近はあまりないですね。
 
「鬼籍通覧」には楽しみが3つあります。
 ・ひとつはあまり知らない法医学の世界のことがわかる楽しみ。これまでの、どの法医学ものよりも、よそ行きじゃない教室の姿が見えてるような気もしますが?
 ・ひとつは一種のミステリとして謎解きの楽しみ。いや、この作品ファンタジィなのかなあ?
 ・ひとつはキャラクタたちの軽妙なかけあい。

(2007-01-09読了)


立て続けに子どもの死体を解剖した頃からミチルさんの様子がおかしくなった。
クールなようで実はやさしくおせっかいな伊月クンは…。

リアルな死体の話と軽妙な食事のシーンが交互に入り(ウェッ!)、
最後はファンタジーだったという鬼籍通覧の第二段。

2007-02-02読了)



椹野道流さんの作品の中でも出るのを最も待ってる作品です。
どんどん書いてほしいものですが。

筧のパソコンからアクセスしたネットゲームで
伊月クンは一人のキャラと出会い
どうにも彼女のことが妙に気になって
パソコンを買うまでするのでした。
 
また、その頃龍村のところでも修業することになりました。
これで龍村大センセもレギュラー確定ですね?
 
そして様々な子供と出会うことになります。
 
今回は初めてファンタジーはありませんがその分、
突っ張っているようでじつはやさしくおせっかいな
伊月くんの魅力がしみじみ伝わります。

(2007-03-01読了)


 
死体たちに関する簡単なリストを下に置きます。
 

【相川】枚方署交通課の係長。サラリーマンっぽい感じ。
阿部純子】31歳の女性。茨木で両親兄弟姉妹もなく孤独に暮らしている。死体となった?
【アメージング・ワールド】通称AM。オンラインRPG。筧が仕事の後気分転換に夜のお散歩を楽しんでいたが、あるとき伊月もハマることとなった。
【池村】高槻市にあるさる墓地の管理人。爺さんでちょっと耳が遠い。いつも一人なのでちょっと寂しんぼで人なつっこい。
【伊月崇】O医科大学法医学教室の新人。とりあえず主人公?少なくとも、彼の視点から物語が描かれることが多い。ビジュアル系法医学学生。朝が弱いのとあまりやってる人がいないからという理由でこちらの世界に。ひと癖もふた癖もある連中が揃う都筑教室に配属され、たくさんの死体たちとともに楽しい日々を送る。小学生の頃母親のブラウスを着て登校していた「美人」だったらしい。
【海野ケイコ】死体。24歳。交通事故で、2台目の大型トラックにより頭部はペシャンコに。
【AM】→アメージング・ワールド
【江口智明】里中涼子の恋人だった青年。死体の第一発見者。
【筧兼継】高槻署の若い刑事。高卒から刑事になった生真面目な叩き上げ。伊月の小学生時代の友人で解剖の現場で偶然再会。男前なのにセサミ・ストリートのマペットを思わせるユーモラスで人なつっこい顔立ち。
【笠原】大阪府警の調査官。
【香奈】赤ん坊の遺体として龍村や伊月にやりきれない思いをさせた。俊介の妹。
【岸田孝夫】K大学理学部講師。50歳過ぎの洒落者でイヤなヤツ。良心はあるのか?
【暁天の星】法医学の世界でひとつの教室に二人も若くて才能があるという稀有な例を明け方の星の少ない空に例えた都筑の言葉。「仰天の星」とちゃうのん?
【清田】O医科大学法医学教室の技師長。都筑教室の生き字引。先々代の教授の頃から勤めている。ちっこくて高速移動する、とは筧の弁。伊月はいつも援けてもらっている。
行政解剖】死の瞬間に誰も立ちあわず、死因がわからない死体のうち犯罪が関与している可能性が薄い死体に処される解剖。龍村はこれを行う。
【佐藤和子】伊月と筧の小学五年時の担任。いつも伊月を怒っていた。最近ビジュアル系に目覚めたが、ミスチルの桜井クンのことをビジュアル系と言っている。
【里中涼子】龍村のところで調べたご遺体。当初単純な自殺だと思われていたが…。「アヒルの足は、赤いか黄色いか?」という遺書かなにかわからない文章が添えられていた。
【早苗】「温泉仲間集合!」というサイトの管理人。
【ししゃも】ある事件を契機に筧が飼い始めた猫。餌をやるために、ほぼ毎晩伊月が通っている。
司法解剖】犯罪の関与のある死体について行う解剖。一歩下がった死体検案というのもあるらしい。
【俊介】妹の香奈が死んでいるのを見つけた少年。
【スカー】AMの中での伊月のキャラの名前。
【住岡峯子】O医科大学法医学教室の秘書。通称「ネコちゃん」。ときどき語尾に「にゃあ」をつける人。26歳だがかわいらしい顔立ちで「ダイナマイツ」なボディを持っている。すっかり伊月のおねいさん気分。ちなみにミチルさんも伊月の姉御ということなので一人っ子の伊月クンはこの教室で二人も姉ができてしまったということに。
【高槻署】都筑教室のご近所さん。死体の有力な供給源。筧が勤めている。
【龍村泰彦】兵庫県監察医。K大学医学部監察医務室にいる。ミチルの同期。3巻目にしてついに出ました龍村大先生。声も体も動作も態度も、無駄にデカく明るい男。さる人物は初対面のときぬりかべをイメージした。服装のセンスは誰もが引いてしまうすざまじさ。「奇談シリーズ」からのゲスト出張なのか、こちらでもレギュラーの座を奪うのか!彼の本業での活躍ぶりがついに明らかになる?それにしても、人物紹介の似顔絵が怖いゾ、おっさん。
【田中さん】K大学医学部監察医務室の事務員。午前と午後に一度ずつ熱いコーヒーを淹れてくれる人。
【都筑教室】皆出身地が違うので言葉遣いも異なるが、公用語大阪弁。ビンボーなのでディスポーザブル(要するに使い捨てですね)の術衣をずっと着ている。死体には感染しないからということだそうです。
【都筑壮一】O医科大学法医学教室の主。小柄で細くて薄っぺらい肉体を持つ教授。ひょうひょうとしているが、頼りにはなる。ときおり奇妙な川柳を吐き出しては皆を困惑させる。
【電車もの】要するに、轢死死体。ゲゲッ!!
【中西砂奈子】ミチルさんの子どもの頃の友だちだったが…。
【中村警部補】高槻署で筧の上司。刑事課にしてはお洒落でセンスがいい。
【長谷雪乃】死体。電車に轢かれほぼ真っ二つ(その他部品多数)。
【長谷依子】長谷雪乃の母。公認会計士
【藤谷綾郁/ふじたに・あやか】大阪府科捜研所属。ミチルの旧友らしい。長身でおかっぱ髪の大女。さらに長身の伊月と体積は同じくらいと思われる。全体的に体のパーツが大きくバランス的には美人と言えるのだがそれよりも先に恐ろしさを感じさせてしまう女性。なんだか陽一郎のファンらしく、すぐ抱きつくのは、熊に襲われている子どものように見える。
【伏野ミチル】真の主人公。O医科大学法医学教室のナンバー2。助手になって二年の30歳。著者と名前が似ているが気のせいだろう。見事な茶髪で学生といっても通用する外見。わりと美人らしいがあまり外面には気をかけてはいないらしい。とりあえず解剖が大好きなもよう。人工甘味料の味も好きなもよう。
【ブルーズ】AMの中で伊月のキャラを助けてくれた女性の魔法使い。その正体は…。
【ミチルの法則】やたらよく当たる法則。とりあえずわかっている法則は、◆続くときは同じような解剖ばかり続く。◆補足:「イヤだな〜」と思うタイプの死体ばかり続く(溺死体など)。◆学会前に解剖ラッシュがある。◆アル中の人は身離れが悪い(身離れって…)。
メーリングリスト】ミチルや龍村が参加している法医学会のML。管理人のM大学・徳山先生が海外出張で留守の間は龍村が管理人代行をしていた。「風太がずんこを殺した」という謎のメッセージが入っていた。
【森口】兵庫県長田署の警官。龍村の仕事に興味津々。
森陽一郎】O医科大学法医学教室の技術員。21歳で、都筑教室では最も若く、技術員として勤めて1年。小柄で華奢で色白で、少女めいた顔立ち。教室唯一の癒し系らしい。ちょっと頼りない。ぼくの知っている数名の陽一郎さんは皆頼りないのですが、この名前をつけるとそうなりやすいのでしょうか?
山田ユギ】この本のイラストを描いている人らしい。なんとなく「少年サンデー」に連載中の「ワイルドライフ」という漫画の画風に少し似ている気がする。
【山原】科捜研の主任。
【陽一郎】→森陽一
【予備校回し】ペン回しのことらしい。陽一郎が得意。