よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「ロブスター岩礁の燈台」ジェイムス・クリュス

ジェイムス クリュス
未知谷
発売日:2004-07

大戦中のドイツ。
その燈台ではお爺さんやカモメや水の精たちが日々お話を物語りあいながら暮らしている。
おだやかな悦楽のときを共有できます。

《「わたしたちのような、世界に対して何の欲ももっていない老人は、世界に対して何も与えることができないのです」》(p.37)

《「その物語が本当にあったかどうかは、まったくどうでも良いことなんだよ。物語の場合、大事なのはそれが本当であるかどうかではなく美しいかどうかなんだから」》(p.41)

《だが、良い人間の数はやはり少ないんだ。》(p.74)

《雲は特定の人としか話をしないのだろうか。それとも、カモメも雲も、ハウケ・ジーヴァースとしか話をしないのだろうか》(p.99)

《そういう訳でハンスは木箱の中で居心地の良い姿勢を見つけると、膝の上に本を乗せて読み始めた。外はあいかわらず、海も空も嵐のまっただ中だ。》(p.115)

《「船の甲板でお話を聞くのは、とくべつ気持ちが良いものだから」》(p.184)

(2005年01月28日読了)