よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

『ブリット-マリはただいま幸せ』アストリッド・リンドグレーン

『ブリット-マリはただいま幸せ』アストリッド・リンドグレーン/石井登志子・訳…徳間書店(2003年・1400円)

スウェーデンの元気な少女ブリット-マリはおんぼろタイプライターを手に入れた。ブリット-マリはカイサという少女と文通を始めた。これはブリット-マリがタイプで打ったカイサへの手紙を集めたもの。
リンドグレーンさんらしく、美しい自然、楽しい北欧の暮らし、涙が出てくるほどの人生への喜ばしさが描かれている。
いつまでもハーグストレム家の人たちといっしょにいたくなります。

評価「○」

はてな年間100冊読書クラブ

下にブリット-マリに関する簡単なリストを置きます。


【アールベリィ夫人】おそろしく意志が強い女性で自分は歌がうまいという間違った考えに取りつかれていてしかも誰もその歌を止めることができない。
アドベント降臨節。クリスマスの準備のための4週間らしい。中でも4回の日曜日はだいじらしい。こうやって4週間もかけてクリスマス気分を盛り上げていくのか。さすがクリスマスの本場?リンドグレーンさんの作品にはよくこうした年中行事の楽しみが描かれていて、そのワクワク気分が好ましいです。
【アリーダ】もうすぐ40歳になるお手伝いさん。現在結婚相手募集中。
【アルムクビスト】新しくやって来た山林局技官。一家の敵になる可能性大。
【アンナスティーナ】幼なじみの友人。スバンテは彼女にお熱らしい。
【イェルケル】下の弟。7歳。小学生になったばかり。何でも集めるクセがある。たとえネズミの死骸でも。現在は物置を自分の部屋にしてガラクタを集め嬉々として暮らしている。
【母さん】ふつうなら笑えないことでも笑ってしまうドジな女性。翻訳家。母さんの誕生日はあらゆる祝日にもまさり盛大に実施するのがこの家のしきたり。この年の誕生日にとんでもないことが?
【カイサ・フルティン】ブリット-マリの文通相手の女の子。ストックホルムに住んでいる。登場してこない。
【カスタードクリーム】を作ろうとしたら、糊ができた。
【北国の声】1940年刊行のアイスランドノルウェーデンマークフィンランドスウェーデンのおもな詩を集めた詩集らしい。これ欲しい!
【教師】≪いい人だけどへたな教師か、悪い人だけど教えるのがうまい教師か、どちらかを選ばなければいけないとしたら、迷わず前者を選ぶよ≫(by父さんp.94)
【クリスマス】リンドグレーンさんの描くクリスマスの風景(クリスマスにいたる盛り上がった気分)は常にとても素晴らしい。
【クレーサ-チルダ】占い師?「どんぞこ」と呼ばれるスラム地区に住んでいる。
【校長先生】すばらしい教師であるとともに、やさしい女性。≪いつか何か困ったことに出会って、父さん母さんの助けが得られないとすれば、わたしはそくざに先生のもとに駆けつけるでしょう≫(p.94)
【シェシュフルト】近くにあると思われる森。冬はそれはもう美しいらしい。
【スティーグ・ヘニングソン】世界は自分のものだろうと思っている金持ちのお坊っちゃん。「ちびまるこちゃん」の花輪くんのようなしゃべり方をするのでは?と想像しているのだけど、あんなにいい子ではない。ブリット-マリの父親のウケも悪い。モカケーキでブリット-マリを誘惑する?スキーだけは抜群に巧い。まああれはかつては金持ちの方が巧くなれたスポーツだったから?
【スバンテ】ブリット-マリの、生意気だが大好きな弟。歯磨きは手抜き。
【スポーツ休み】何それ?スウェーデンの学校ではそういうのがあるらしい。スキーを自主的に練習するための休み?
【タイプライター】ブリット-マリのママは翻訳家で新しいタイプライターを手に入れたので古いのをブリット-マリにくれた。何かを書きたくなってしまう道具。
【父さん】男子高校の校長。年寄りではないが銀色の髪。落ち着いていてユーモアがある。苦手なものは羊肉のステーキ。嘘やうわさ話やコーヒーパーティーも好きではない。
【トムテン】小さくてひげをはやし赤い服を着た妖精。サンタクロースの役割。
ノーベル文学賞】スバンテが≪ブリット-マリがノーベル文学賞を取ったらその賞金をどうしようかって、気になって眠れないんだ。≫(p.18)と言ったところではリンドグレーンさんってノーベル賞取ったよねえ?と思ってたんだけど、訳者の後書きからすると毎年候補には上がっていたけれどついに受賞しなかったらしい。この人にあげないなんてもったいなかったね。
【ハーグストレム家】ブリット-マリんち。父さん、母さん、長女のマイケン(19歳)、二女のブリット-マリ(15歳)、長男のスバンテ(14歳)、次男のイェルケル(7歳)、三女のモニカ(3歳半)、お手伝いさんのアリーダ(もうすぐ40歳)。≪うちの家族はお祝いごとを見逃すような人たちではありません≫(p.133)
福音書】≪クリスマスに開く福音書ほど、美しく完成度の高い詩はほかに知りません≫(p.109)
【ブリット-マリ】スウェーデンの15歳の少女。女学校の6年生。自分では普通の容姿と言っている。ブルーの瞳に金髪が普通なのかぁ。読書好き。ベッドから手に届く範囲内にはお気に入りの本たちを、充分離れた遠い場所には教科書を。パーマと庭の掃除は嫌い。11月とは相性が悪い。結婚相手に求めるものは、本と子どもが好きなこと。
【ベルティル】ボーイフレンド。真面目な少年。≪誠実だってことは、何にもまして大切だ≫(p.83)。男の子の中では最も信頼できると、ブリット-マリは思っている。恋は盲目…。10歳のときに両親の離婚を経験し、母や妹といっしょにこの街に引っ越してきた。父親は再婚している。ブリット-マリの父親のウケも良い。
【ペンフレンド】遠くにいて接する機会も少ないからこそなんでも話せるのであろう。日記を書くごとく。
【ホルト夫人】ユダヤ人の避難民の女性。不幸な人生に耐えていて、≪この世にこのお母さんほど、完全に望みを失った悲しい目をしている人はいないでしょう≫p.156。夫は行方不明でもう会えないかもしれない。
【マイケン】ブリット-マリの姉。19歳なのに一家の主婦として家を取り仕切っているしっかり者。皆の恐怖はいつか彼女が嫁に行ってしまうであろうこと。求婚相手は全員敵だ!
【マリアン・ウッデン】ブリット-マリのクラスの女ボス。お金持ちのお嬢さま。ブリット-マリとは敵対している?
【モニカ】3歳半。信じられないほど甘やかされている。かわいらしさを武器に家族をいいようにあやつっている。ロッタちゃん?
【もの】≪何かものを手に入れるというのは、とても不思議なことです。もののほうが、持ち主にあれをしろ、これをしろとせっつきはじめる≫(p.4)
【ルシア姫】スウェーデンの行事で聖ルシアの祝日というのがありルシア姫というのに扮装した女性を中心に祝うらしい。ルシア姫は「星の男の子」というのを従えているらしい。
【ルンドストレム嬢】先生。パグ犬にそっくりなのでワンワン吠えだすのを聞きたいとブリット-マリはひそかにかんがえていたりする。