《お父さんが死んでから、うちではマライアおばさんがはやってしまってる。》(始めの一行)
大好きな作家。
例によって今回も、性格の悪い人が行列つくって登場。なかなかうっとうしいと思いつつ、何らかの期待をこめて読みすすめる。だって、ダイアナ・ウィン・ジョーンズやもん。
車ごと海に落ちる事故で亡くなった父が行こうとしていたマライアおばさんの家に、母、兄のクリスとともにやって来た少女ミグが日記に記す物語。
おばさんはイヤな人で、周辺の人々もイヤな人々で…。
《クランブリーにいる人って、私もふくめて、みんな頭がいかれてるんじゃないかな、という気がする。》(p.91)
《「……ふうん。でも想像上の娘だって、いないよりはましですよね」》(p.95)
幽霊。一様に見える孤児院の子どもたち。海に落ちたはずのお父さんの車そっくりの車。もと人間だったように見える猫。
何か不可思議なことが起こっているらしいのは、子どもたちの妄想か、はたまた真実なのか…
兄妹があれこれ調べているうち、クリスにたいへんなできごとが。
《どうしてみんな、おたがいをあやつろうとするの?》(p.164)
《でも、ハッピーエンドはただ待ってればやってくるもんじゃない。》(p.193)
町の雰囲気に当てられて鈍くなっていたミグ、ついに行動開始。
《もっと早くから、うれしがらせるようなことを言ってあげればよかったのかも。でも私は、そういうパターンどおりのことをして人をあやつるのは嫌い。》(p.201)
ぼくも、それは嫌い。愛想がないと言われてる。
いったい、誰が味方で、誰が敵なのか。まったく読めないところがすばらしい。だって、みんないやらしい性格なんだもんね。結局、みんな敵かな?
《お母さんはまだ頭が混乱してたせいで、そのまま見当ちがいなことを言いつづけ、おかげでアントニーはかえって落ち着いてきた。》(p.245)
《なんでもすぐにわかってしまう人は、二度目にはだまされるかもしれない。でも、きみはだいじょうぶだ》(p.292)
これって褒められてんの?バカにされてんの?