よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「坂田靖子セレクション」

いつもの坂田調デス。
あっさり、ほんわり。

その内訳は・・・
 ・とぼけた男の前にとぼけた魚と仙人と化け物が山登り。
 ・定刻にこだわる「定刻ホテル」。
 ・少年と月光。
 ・少年とおばあちゃんちのこびと。
 ・少年と謎のパレード。
 ・少女と魔王の宮殿と柱に貼りついたおじいちゃん。
 ・正月を前に大忙しの番頭さんと不思議な二人のこども。

(2011年04月17日読了)


この巻は読んだことがあるような童話のパロディ。

どこかすっとぼけてぼんやりしている坂田靖子調のキャラクタ。
あまり残酷にはならない。

とはいえ、

たんたんとクールに展開するのも、
また坂田靖子調。

(2011年04月23日読了)


坂田靖子さんのちょっとふしぎなあと味の短編集。
「アジア変幻記」の2。
 ・「新月宵」神と悪魔の同居している世界。
 ・「石の谷の姫君」異界譚。聊斎志異みたいだが、すっと去る。
 ・「水の色の空」小悪党ぽい少年はふと出会う。
 ・「象牙飾りの窓」象を多く殺さねば作れない窓に躊躇する職人。
 ・「桃の村」箱庭の中にいるのか外にいるのか。
 ・「塔にふる雪」僧院にあらわれた赤ん坊になつかれた僧。

解説がすばらしい。
なるほどなるほど、的確だ。

「人間の脳のある部分は、神を探すために空けられているのではないかと思った。」
そしてときおり坂田靖子さんの世界で神を見出す。

坂田靖子の世界の物語はこれにて一件落着というよりは、まだ先に話は続くんだけど今日はこれでお終いとでもいった風に終わる。余韻とも違う。物語の対象からすうーっと遠ざかっていく感じだ。・・・人間の目の中にあった神の視線がす、す、すーと天にもどっていくカンジ・・・もどってそれは天空の月になる。吹きあげる雪になる。人と天の視座をこの作者は往き来するのだ。読むこちらもその往来の自在さにふわりと浮いて快感である。」

「このやわらかい絵の線が読み手を守ってくれるのだ。ひょろりとふわりとあいまいに愛を感じる坂田靖子の世界。」

解説を誰が書いてるかはあまり気にしたことがないのだだけど思わず「誰やろう?」と署名を見たら萩尾望都さん。
さすが。

(2011年05月01日読了)


【キャッチコピー】ふしぎなことごとうけいれて

【一行書評】坂田ふう堤中納言物語でゆたかな気分。

【評価】よかった

【読了日】2011年05月13日

【この作品10の要素】
 ・おかしなことがある世界ってのはたのしい。
 ・ただそれだけのこと。
 ・怖い状況でもお気楽な連中。
 ・願いのかなう小槌で願いをかなえてもらいたい男は・・・
 ・味噌好き医師とその弟子のタフさ。
 ・河童のエピソードいくつか。
 ・虫めずる人々の小さなエピソード。
 ・狐が母だというウワサに悩む安倍晴明さん。
 ・美しい笛を吹く「月の姫」のウワサ。
 ・風情とふふっ。

【得したこと】ほわぁとのんびり気分になれる。

【損したこと】弛緩しすぎてほかのことがどうでもよくなるかも。

【名言】それだけの事である。