よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

スキーが滑る理由は?

新潟日報2011.02.19朝刊。

スキーが滑るのはスキー滑走面と雪面の摩擦で解けた水の「潤滑作用」で滑ると聞いていました。スケートなんかでも同様だと。
しかし最近少し異なる意見が出てきているようです。

  • もともと雪の摩擦は小さく摩擦融解が起きていないケースがある。
  • 摩擦融解説に従うと「水潤滑で良く滑る→摩擦が小さい→摩擦熱の発生が減少→水の発生が減少→滑りが悪くなる」という矛盾も生じる。
  • 水潤滑がなくても滑るのではないか。
  • 対馬勝年富山大客員教授は「一般的な摩擦の仕組みである凝着で説明できる」と考えている。
  • 一般の凝着では物体間に大きな力が働くが雪(氷の粒)は「押しつける力には強いが横方向に切り裂く剪断力に対し極めて弱く、凝着は押しつける力に対する硬さの100分の1以下という小さな力で壊れる」性質がある。
  • 接しているのは凸形の先端だけで接触面積が小さい上にその先端部が剪断力に極めて弱い。
  • スキー面と雪面の本当の接触面積は小さい(凸の先端だけ)。ワックスや塗料で覆われることによってスキー滑走面の付着強さが小さくなるとさらに。
  • ワックスが水をはじくから滑るのではなく、雪の付着力を低下させるから滑りが良くなる。
  • 硬い雪(気温は低い)の方がスキーの滑りはよくなる。摩擦熱説には無理があるのではと仁木國雄電気通信大教授。
  • 実験ではマイナス10度近辺で摩擦が小さくなりスキーが最もよく滑る状態になったが解け水は発生しなかった。また雪粒に擦ったと思われる筋ができた。解け水があれば筋はできないはずとのこと。

個人的にはこの説の方が説得力を感じます。
前々からなんとなく疑問を覚えていたので。

スケートではどうなんでしょう?
あちらは水の潤滑という気もします。自分で滑ってみた感覚から。
液体窒素でキンキンに冷やしたブレードで滑ってみたらわかるかも。いやそれでは冷えすぎてくっついてしまうか。液体窒素の温度だとかなり低音の氷でも湿っているでしょうから。
あるいは摩擦融解説、凝着説両方の要因がからんでいるのかも。