「坊ちゃんの時代〜凛冽たり近代なお生彩あり明治人」谷口ジロー+関川夏央
この巻は石川啄木が主人公。
真偽ないまぜなのだろうけど、石川啄木に対するイメージが変わることまちがいないかもしれません。
金がないとほざきながら、ちょっとお金が手に入るとすぐに浪費してしまうダメ人間として描かれています。
ただし、詩才だけは際限なくほとばしる。
なかなか好感の持てる(?)キャラです。
(2009年12月28日読了)
明治の知識人たちについての簡単なリストを下に置きます。
【荒畑寒村】荒畑勝三。菅野須賀子に翻弄されていた社会主義者。漱石のうちに入り浸っていた。赤旗(せっき)事件を起こす。
【石川啄木】石川一。3巻の主人公。誘惑に負け続けた男。しかし詩才だけはある。いつも貧乏。金が入るとすぐ使ってしまうからしかたがない。
【石田吉蔵】大人びた少年。新井薬師の料理屋「吉田屋」の息子。後に「阿部定」に殺される。
【伊集院影韶/かげあき】警視庁外事担当警視。ちょこちょこ登場。柔道の強豪。平塚らいてうを森田草平から奪う。赤シャツのモデル?
【エリス】森鴎外の舞姫。2巻の実質的な主人公。
【太田仲三郎】明治大学の生徒。俥夫。漱石のうちに入り浸っていた。坊ちゃんのモデル?
【蓋平館/がいへいかん】金田一京助と石川啄木が引っ越していった下宿。
【菅野須賀子】幽月。荒畑寒村の恋人だったが寒村が刑に服している間に幸徳秋水の恋人となる。絶望的な革命家であり炎の女。第4巻の主人公の一人。
【北原白秋】石川啄木の友人。
【木下杢太郎】太田正雄。詩人にして医師。
【金田一京助】石川啄木の友人。上京した啄木と同じ下宿で面倒を見ていた。中学の先輩でもあった。
【幸徳秋水】幸徳傳次郎。アナーキスト?社会主義者?菅野須賀子が荒畑寒村の次にくっついた男。第4巻の主人公の一人。
【西郷四郎】講道館四天王の一人。警視庁柔道師範。姿三四郎のモデルとして有名。
【堺利彦】幸徳秋水の友人で萬朝報社の同僚。おおらかな性格。
【赤心館】啄木や金田一京助が住んでいた下宿。
【赤旗事件/せっきじけん】若きアナーキストたちが起こした事件。そのために西園寺内閣が辞職した。のちに桂太郎内閣となるが山縣有朋の息がかかっている。
【田岡嶺雲】幸徳秋水と同郷の論客。
【田中正造】足尾銅山の公害を訴え続けた。幸徳秋水に直訴状を書いてくれるよう訴えてきた。
【中江兆民】幸徳秋水の師。
【長沼智恵子】平塚らいてうの友人。後に高村光太郎と結婚。
【夏目漱石】1巻の主人公。それなりに売れっ子小説家。でもお金が足りないので大学でも教えている。胃病持ち。それなりに社会人だが、少し失格気味ではある。周辺にさまざまな人が集まる。
【富田銀蔵】仕立てや銀次と呼ばれる有名なスリ。ちょこちょこ出てくる。エリスとも知り合う。伊集院の密偵のようなこともしている。
【平民新聞】堺利彦や幸徳秋水が萬朝報から離脱後立ち上げた新聞。
【平塚らいてう】本名、平塚明子(はるこ)。森田草平と交際している女性として登場。新時代を象徴する女性として描かれる。自分のイメージする自分のありように固執していた。
【樋口一葉】樋口夏子。凄い才能の持ち主として時折登場。いずれ主役として取り上げられないかな。
【二葉亭四迷】長谷川辰之助。日本に戻る船上で死す。
【堀紫朗】侠客。ラフカディオ・ハーンの友人。漱石のうちに入り浸っていた。山嵐のモデル?
【森鴎外】2巻の主人公。かな?主人公はエリスかもしれない。軍人であり医師であり、文学者でもある。ちゃんとした社会人。
【森田草平】本名、森田米松。漱石のうちに入り浸っていた。平塚らいてうと愛人関係だったが捨てられ一時帰郷。再度上京し平塚らいてうと再会の後、心中事件を起こす(煤煙事件)。
【山縣有朋】社会主義を弾圧した、政界の大立て者。