よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

vs 鳥

この世界には鳥の怪物がいる。世界中の恐怖となっている。黒い色で、羽根が6枚あり、高速で飛ぶ。そして、人間を喰う。

そいつを退治するために作られた空飛ぶ船にぼくは乗っている。船は巨大で、怪物とほぼ同じ大きさ。3階建てで、乗員の数も多い。そしてとても堅い木で作られている。たくさんの武器と、なにやら切り札となる秘密兵器もあるらしい。
自信満々で余裕すら見せている他の乗組員を眺めながらぼくは「こんな船でかなうはずないよな」とか「こいつらみんな死んでしまうんやろな、ぼくも含めてね」とか考えている。

あとは時系列が完全にバラバラで、その怪物との戦いのさまざまなシーンを見た。

怪物を探して各地を飛び回るがなかなかみつけられないシーン。

一度遭遇して、並行してしばらく飛ぶが逃げられてしまったシーン。

船が負けるしばらく前にぼくは降りていて、街の方に向かって逃げているシーン。鎧を身につけた戦士が誘導してくれていた。ようやく人ごみに紛れるが「あいつは、自分に敵対した者をぜったいに許さない。いつかはつかまるんやろな」と思いつつ恐怖にかられ逃げ続ける。

怪物を見つけられない船が、海上に降り、しばしの休息をしているシーン。そこに突如怪物が降りてきて、甲板で暴れ回る。みんな中に避難する。船の中央にあるコアの部分が避難場所で、特に丈夫にできているので、皆まだ余裕がある「あいつがキツツキやったら、この船も一撃で破壊されてまうんやろうけどな」とだれかが言う。ぼくは「え、あいつはキツツキの怪物やで」と返す。「木をほじって虫を喰うんや」おれらが虫やな。コアにおっても危ないで。と思う。

鎧の戦士が怪物との激しい一騎打ちの末破れ殺される。彼を喰おうとした怪物は考える。こいつは勇者だ。敵ではあってもエサじゃない。そして怪物は戦士のなきがらを離し海に沈める。

怪物との最初の戦闘で船がけっこういい勝負をしているシーン。それでみんな余裕を抱いてしまった。ぼくには気にする必要もない相手だとあしらわれていたようにしか見えなかった。

船が怪物の嘴に、やすやすと穴をうがたれるシーン。ここから一方的な敗退へと崩れてゆく。

目がさめてもしばらく恐怖感がのこっていて、からだが震えていた。