よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

傘をさす

今しょぼしょぼ雨が降っておりあちこちに傘が歩んでいるのだけどこんな1分間外でつっ立っていても身体じゅうがびしょ濡れになるほどでもない程度の雨でなぜ人は傘をさすのと考えてみると濡れることはもともと生命の危機につながるという不快感からくることもあるのだろうけど髪が濡れてセットが無に帰するのはイヤだということもあるのだろうけどあそこまでかたくなに傘をさすのは雨というのが一種の非日常であり雨の降っている世界はそれ自体異界であり現在の自分たちに理解できる範疇の常識だけで形造られた日々を安穏と生きていくのが好みの人にとっては唾棄すべきものであり傘という小さな結界ででも自分たちの世界を区切っておく必要があるからかもしれなかった。