つらいことがあったとき、全部まとめてだれかのせいにできるというのは、いいもんだ。(p.12)
でも、もしかしたら、希望を失わないというのも、呪いのひとつかもしれない。(p.14)
無実の罪で「グリーン・レイク・キャンプ少年院」にやられることになったスタンリー・イェルナッツ(Stanley Yelnats=前から読んでも後ろから読んでも同じ)。そこは名前に反してまったく乾いた土地で、少年たちがひたすら穴を掘らされ続けていました。
「どこの国の子も、でっかい穴を掘りたいって、みーんな思ってんのさ」(p.62)
そうかな?そうかもね。
グリーン・レイク・キャンプでマザーグースを口ずさむ?超あほくさい。
(p.102-103)
「警告してくれてありがとう」スタンリーはつぶやいた。心臓がどきどきしている。
ガラガラがなかったら、ガラガラ蛇はもっとずっと危険だろう。
(p.124)
キャンプでは毎日、ガチガチに乾いて堅く死ぬほど暑い荒れ地に穴を掘ります。毎日一個、直径1.5メートル深さ1.5メートル。それだけ。精神を鍛えるためというけれど、所長にはなにか思惑があるみたいです。
そして、ある日破局が訪れ、スタンリーはたったひとり友達になったゼロを救うため脱走してしまうのです。
そして…
いまはちがう。自分が好きだ。
(p.247)
不運を甘受し、自分が好きではなかったスタンリーは、運命と闘うことによって自分を認めはじめます。それはおそらくゼロも同じだったでしょう。
ここよりほかにいたいところなんてない。
(p.248)
そう…ついに彼にとっての楽園を見いだしたのです。おそらく魂の楽園を。
そして…グリーン・レイクの過去と現在が交じわるときがやってきます。
読後感はとてもいいと思います。それから、きっとタマネギを食べたくなるかもしれません。