よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

闇の中の思い出

中学2年か3年の真冬。親の反対を押し切って、夜中の2時ごろ家を自転車で出ました。友人と待ち合わせていた場所に行き合流。そのまま走り始めます。
しだいに街灯も減ってきて、闇の中に入っていこうとしています。冷たい風が耳をちぎりたがっているのに負けそうになりながらもひたすらペダルをこぎ続けます。
やがて、周囲は月も出ていない完全な闇となります。何度も通ったことのある道で、ダイナモの明りはかすかなものだから、ほとんど記憶だけを頼りに進みます。これは怖い!かなり怖い!いつ田んぼか川に突入することになるかわからない。このときの情景(と言っても何も見えていなかったので、闇の中を手探りで走っているイメージだけですが)は今でもちょいちょい思い出します。
前の方から自動車が猛スピードでやってきました。こちらに気付いてないようで、スピードを落としません。これも怖い。すれ違うとき、なぜか大声で「バカヤロー!!!!」と叫ばれました。なんでやねん。なんでそんなん言われなアカンねん。
道は登りに入ります。
蛇行する道を標高400メートル以上までずっと登っていくとTV局の送信アンテナがあります。そこが目的地。ゼエゼエ。
やっとこさたどりついたら、もう数十人くらい人がいます。途中で同じ方向に行く人には誰も会わなかったってのにねえ。
胡椒がたっぷり入って、メチャクチャ辛い(けど不味い、けどクセになる)カレーライスを食べます。やっと人ごこちがつきました。
それからずっと待ちました。
やがて、空が白みはじめます。そして…
オレンジ色の太陽が…
初日の出なのでした。
オー!!!!!!!