よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「ヘミングウェイ短編集」

旧バージョンの短編集。

シンプルでカッコイイ作品集。

余韻が大きい。
人生のつかの間だけが描かれそれ以外の部分が見えないからかもしれない。
物語は不意に浮かび上がり、ぷつっと終る。

力のある言葉。
人に対する影響力が強い。

個人的にターゲットは「心が二つある大きな川(一)」。
これも「人生の最期に読みたい作品」のひとつ。
放浪中の主人公ニックは、ある川のほとりを歩き、その夜キャンプをする。
ただ、それだけの淡々とした話なのだが、そのイメージがぼくの中に根強く沈み込んでいる。
ぼく自身がずっと徒歩旅行者だからなのだろう。

(2009年10月16日読了)


なぜかブラッドベリを読んでいる感覚と近いものを感じてしまった。
真逆な作風だろうに。
案外そうでもないのかな?
初期のブラッドベリには突き放したようなところがあるかな。
まあ、翻訳ものの味というだけかもしれない。

ともあれ、かっこいい作品集でした。

(2009年11月03日読了)