よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

2004年に読んだベスト10冊

 ※ひとつのシリーズは1冊に数えました。2004年に出版されたというわけではなく、あくまでも読んだ本です。

[1]一千一秒物語たむらしげる画/稲垣足穂・原作|ブッキング|街角で星やお月さまと出会った。《――ワカラナイノガネウチダトサ》(p.11)以前出ていたリブロポート版では「文芸絵本の究極」と書評されていました。美しい、夢見る絵本。意外に乱暴な月や流星と闘っちゃう紳士。繰り返し読めるたのしい本。

一千一秒物語
稲垣足穂文・たむらしげる
[2]半七捕物帳(全7冊)|岡本綺堂春陽堂春陽文庫|おやぁ、これはいいですねぇ。半七親分はいなせな岡っ引きです。今日も今日とて奇怪な事件を追っています。ラック度の高さを生かして気楽に捜査、さまざまな不思議、幽霊や妖怪じみたできごとを解決します。休日にうつらうつらしながらゆっくり読むのに向いています。半七老人の昔がたりって形式なのがいいのかもしれませんねぇ。
半七捕物帳 1(光文社文庫)
岡本綺堂
[3]すぐそこの遠い場所|クラフト・エヴィング商會筑摩書房ちくま文庫|遊び心だけでできた本。この世にはない国の事典。そして読むたびに内容が変わるそうです。なんてお得なんでしょうか。
すぐそこの遠い場所(ちくま文庫)
クラフト・エヴィング商会著
[4]大仙人|舟崎克彦・作/橋本淳子・絵/小林敏也・構成|パロル社|「列仙伝」「神仙伝」をもとに多くの仙人を絵本で紹介。ひょうひょうとして人を食ったエピソードが楽しい。絵も雰囲気あります。
大仙人
舟崎克彦文・橋本淳子絵
[5]李白の月|南伸坊|マガジンハウス|中国の綺譚をマンガ化。それにコメントがついて気楽に夢な世界で遊べる本。
李白の月
南伸坊
[6]タビネコ|ネムはじめ|星雲社|絵本。ぶっちいはタビネコ。背中のリュックが重くなったら旅に出るのです。[7]キノの旅(II)〜(VII)〜the Beautiful World〜|時雨沢恵一黒星紅白・画|メディアワークス電撃文庫|《いや、ちょっと。人間の持つポテンシャルの高さと、低さについて悩んでるとこ》しゃべる単車(モトラド)エルメスとともに旅する少女キノ。短編連作。二人が漫才しながら毎回奇妙な国にたどり着き、気に入ったり、闘ったり、クールに通り過ぎたりします。エルメスは旅そのものです。
キノの旅 2(電撃文庫 0487)
時雨沢恵一〔著〕
[8]秘密の心臓|デイヴィッド・アーモンド|東京創元社|1500円|206頁|刊2004年06月|了2004年12月21日|幻小|アーモンドは孤独な魂が孤独だけではでなくなる瞬間を描く。その喜びを描く。内向的な少年ジョーはサーカスと、そこで空中ブランコ乗りをしている少女コリンナと出会い、「虎」を探す。


[9]宇宙叙事詩(上)(下)|光瀬龍・文/萩尾望都・画|早川書房・ハヤカワ文庫|絵物語火星年代記2001夜物語に近い雰囲気。予想してたよりずっと良かった。下巻の大半を占めるのは古代大国の滅亡を描く「アヨドーヤ物語」。無常感にあふれた美しい織物。

[10]百頭女|マックス・エルンスト/嚴谷國士・訳|河出書房新社河出文庫|980円|375頁|コラージュ文学の傑作とか20世紀最大の奇書とか言われてるようです。どこかから取ってきて切り貼りしてつくった絵に短いキャプションがついています。ヘンテコな本です。読んでみると、妙に詩ごころが刺激されます。

百頭女(河出文庫)
M・エルンスト〔作〕・巌谷国士訳
[次点]龍のすむ家|クリス・ダレーシー/三辺律子・訳/浅沼テイジ・画|竹書房ファンタジー小説、かな?《下宿人募集中(中略)ただし子どもとネコ(と龍)が好きな人に限ります》そんな看板に惹かれ住むことになった下宿には母娘とたくさんの置物?の龍がいました。これはシャレたいい話。
竜のすむ家
クリス・ダレーシー著・三辺律子
[次点]輝く星〜ホピ・インディアンの少年の物語〜|ジョアン・プライス/北山耕平訳|地湧社|拉致されたホピの子どもたち。ロマはビッグ・ジムという罠猟師に買われ…。いいセリフ満載の成長物語。と書くとうさんくさい感じがするかもしれませんが、気持ちのいい話です。
輝く星
ジョアン・プライス著・北山耕平訳
 2004年に読んだ冊数=243冊
 「次点」の2冊はトップ10には入らないと思ったのですが、オススメしたい本です。