よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

清ら影〜滝澤やまとステンドグラス作品集〜|池澤夏樹・序文|鳳山社

評価「○」。

むかし…残雪ふかい早春、人けのない軽井沢を歩いたことがあります。有名な聖パウロ教会がちょこんとあります。無理かなと思いつつ扉をたしかめてみると開いています。勝手におじゃましてベンチにこしかけました。誰も来ないのをいいことにそのまま1時間ほどじっとしていたのはなぜでしょう。
この教会にステンドグラスはなかったと思います。ただ、正面の十字架の背後が摺りガラスになっていたと記憶しています。十字架のシルエットはとても神々しく見えたのです。透過光は、それじたいが祝福なのかもしれません。柄にもなく敬虔な気持ちになって動けなくなってしまったのでしょうか。
『清ら影』は滝澤やまとさんというステンドグラス作家の作品集(写真集)です。祝福された透過光がうまく表現できてるのかなと心配しましたが、とても美しい作品集に仕上がっていると思います。
ステンドグラスとともに暮らすということはどういうことなのでしょう。そこはぼくらの知っているふつうの空間ではなくなっているのでしょう。とてもクリアな存在でいられるように思えます。生き方にかかわってくる装飾なのです。

個人的に「マチネ・ポエティック」の人々に興味を抱いています。序文を書かれている池澤夏樹さんのご母堂池澤澄さんは原條あき子という詩人でもあり「マチネ・ポエティック」に参加されておられました。『原條あき子詩集』という本も持っています。その方がなくなられたことを、「あとがき」で初めて知りました。そして初めて写真でお姿を知りました。なんとなく感慨があります。

うん?ちょっと力が入ってしまいましたね。これ、bk1に投稿してみようかな。

清ら影
滝沢やまと著

出版社 鳳山社
発売日 2004.08
価格  ¥ 2,940(¥ 2,800)
ISBN  4831601136
宇宙と、星と、地球上全ての生物の存在をおおらかに肯定し、人間の営みをゆっくりと言祝ぐ祝福のメッセージを受け取るアンテナが、ステンドグラスである…。青山学院ウェズレー教会等のステンドグラスを手がけた著者の作品集。 [bk1の内容紹介]

bk1で詳しく見る オンライン書店bk1