読書好きのための、手品的な本。
ひとつながりのようで、どこから読んでもたのしい。
クチからデマカセが、だんだんおいしそうな中身になってしまいます。
ぜんぶが、余白に書かれたような一冊です。
本読みって楽しいなあ。
あらためてそう思うのです。
残りページ数が少なくなってくると、なんだかとても残念に感じてしまったのです。
だれかに貸してくれと頼まれても、この本は貸したくない。
中身を読むだけなら図書館で借りればいい。
でもこれはそんな本でもない。
手に入れることに価値があるのではないでしょうか。
古書店で買う。
それもこの本の雰囲気ではないかもしれません。
いや、やはり古本屋はOKかな?
クラフト・エヴィング商會の本は、古書店で旅人のように人々の手をわたってきた本を入手するのは似つかわしい。
ボクもまた、本にとっての旅となるのです。
しかし貸し借りはなんだか違う。
いったん自分のものになったら、手放すまでは自分だけの本なのです。
世の中には「ありよう」というものがあると思います。
この本、あるいはクラフト・エヴィング商會の、本の「ありよう」は、新刊で、それもまだ立ち読みもほとんどされていないきれいなときに、いそいそとレジに持っていく。そんな感じじゃあないでしょうか。
なんとなく、ね。
(2004年07月18日)
ここからはダラダラ紹介
とにかく、クラフト・エヴィング商會の創作活動を描いているようでいて、相変わらずのデタラメです。
そう。テーブルは「内」と「外」のあいだにあるものだから。
あー、ノンブルがないから、引用ページ数が書けません。
おいしそうな本……ふうむ、本はおいしそうなのがいいのか……。
ということで、クラフト・エヴィング商會はおいしそうな本を出すわけですね。
いや、名言はいつもデマカセから生まれるもんだから。というか、この世は全部デマカセから生まれるもんだから。
はいはい、同じ考え方です。
「パスパルトゥー」の意味は知ってるでしょう?
万能鍵。パスパルトゥーは、なんでもやってのけるからね。彼にできないことはないんだよ。
パロスデームってのは、「どこでもいいから」というような意味でね。
口から出任せで、楽しくやってますねえ。
私たちの唯一のモットー。「腹が減っては戦はできない」。この世の唯一の真実です。
にもかかわらず、「腹が減るから戦をする」のがこの世の常なんです。嫌だなぁ。矛盾するなあ。
矛盾を受け入れろ、ということですか?
あ、いいこと言うね。それだそれだ。じゃないと疲れてしまうもの。
いや、私は余白のない誌面を憎んでいましてね、なぜかと言うと、話せば長くなるんですが……
同感します。余白が好きです。とっても、好きです。
この本、最初の方は、ジュール・ヴェルヌの『八十日間世界一周』(岩波文庫)の宣伝?なんかまた読みたくなってしまいますよね。とりあえずぼくのヴェルヌの「この1冊」は『海底2万里』なのですが、『八十日間世界一周』とどっちにしようかかなり悩みました。どっちになるかは、出会い方の問題だけでしょうか。