よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「過去からの手紙」岸田るり子

幼馴染の高校生男女、ただしあまり仲は良くない(と、当人たちは思い込んでいるが、実際はいいコンビ)二人。
どちらもかなりの美形らしいが、なかなか気難しく、付き合うのが難しそうなキャラクタなのは、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんぽくもある。
小中学生くらいの設定にした方が良かったかもしれない。

男の方の母親が記憶喪失になり、なぜそんなことになったのか、そしてつじつまのあわなさの謎を追いかける。

幽霊も出てきたりするけど、これはあんまり存在感がなかった。

女の方の父親は著名な画家で、なかなかおもしろそうなキャラクタだし、父娘関係のおもしろさもあるのだが、ストーリーとはあまりかかわってこなかったので、ちょっと残念。

これを読んだ人のほとんどはおそらく、ミステリの部分より、それとはあまり関係のない、主人公たちの参加する部活「マテリアルクッキング」の方に意識が行ってしまうのではないでしょうか。
これはかなりユニークで、おもしろい発想でした。
マテリアルクッキングが謎に直接結びつくような続編を期待したいところ。

(2008年07月14日読了)

ということで、以下の文章を「はてなキーワード」に登録してみました。


岸田るい子さんのミステリ「過去からの手紙」に登場する部活動の名称。
今後、こういう料理法の普遍的な呼び方ともなりうる力を持っていると思う。

すなわち、料理を素材から作ること。

「素材から」と言っても、マヨネーズを卵と酢から作るとか、ハンバーグを作るとき肉のかたまりをひき肉にするところからとか、ギョーザは皮から作るなど、比較的手に入りやすい材料は使うというレベルなので、無理っぽくはない。
小麦から小麦粉を作るとか、牛から肉を作るというところまではいかないので安心。

まず、我々は美味しそうな写真をじっくり見るところから入る。

そうやってイメージをつかんでから、素材を見て「どんなものになるのだろう」と想像し、その後調理に入る。

なかなか奥が深そう。
最近はやりの「食育」にも最適っぽい。

ちょっと調べてみたが、この作品について言及されたものでしかお目にかかれないので岸田さんオリジナルの発想のもよう。
いい言葉です。