よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「イグ・ノーベル賞」の本

マーク・エイブラハムズ
阪急コミュニケーションズ
発売日:2004-03-19

おかしな業績や奇妙な研究をまつりあげる変わった賞を受賞したあれこれをたくさん紹介した本。

とっても楽しいです。
ずっとクスクス笑い通しでした。

経済賞はほとんど犯罪ばかりだったり平和賞はイロニカルだったりしましたが科学関係になるとむしろ愛を感じました。
こんな変な題材に取り組むなんて、物好きですごい人たちだ、と。

中でも個人的にはニワトリが体内で核融合してることを突き止めた研究は気に入りました。
これなら金の卵を生むニワトリも実在できますね。

「奇妙」と「すごい」は紙一重(たぶん)。
そしてこれらの研究は「現実」と「非現実」のあわいにある一種のファンタジィ。
異世界に行きかけてる業績をぜひ楽しんでください。

(2005年11月21日読了)


あいかわらず楽しいです。
前の本より少し薄くなって残念?
けったいで楽しい人びとに賞を。

この文は2006年01月22日に書いたものです。
ゆえに以下はちょっと現在とズレがあるでしょう。

■次のイグ・ノーベル賞は?
どうやら捏造であるということになったES細胞の黄教授になるかもしれませんね?経済学賞にはそういうタイプの受賞が多いけれど科学賞ではあまりなかったようなのですが、今回のはちょっとおおごとになってきました。

■マーフィーは実在した?
「失敗する可能性のあることは必ず失敗する」のマーフィーの法則(同名の他の法則もあるそうですが)を初めて知ったのはパソコン雑誌「ASCII」誌上で紹介されだしてからで、本も2冊ほど買ったりしていますが、その「マーフィー」さんが実在の人物でありイグ・ノーベル賞を受賞していたということを前記の『もっとイグ・ノーベル賞』という本で初めて知りました。架空の人物だと思っていたのでちょっと驚きです(当時その起源の話も読んだのだとは思いますが忘れてしまってます)。

■政治家は単純
人の性格は次にあげる5つの因子だけで記述できるとしたフィリップ・ジンバルドの研究は面白い。
  外向性・活力
  協調性・友好性
  勤勉性・良心性
  情緒安定性
  知性・開放性
人を評価するときスポーツマンその他に対しては5つの因子それぞれに分かれているのだが、政治家だけは外向性・活力と勤勉性・良心性の2つに集中しており、一般の人は政治家をごく単純な性格として評価しているとか。

■ささいなことの調査
極めてささいな日常のできごとをただ調査したジョン・W・トリンカウス教授の研究は楽しい。
たとえば、ビルから出るときに開いてるドアでなくわざわざ閉じているドアから出る人の割合、野球帽を後ろ向きにかぶっている者の割合、白いスポーツ・シューズをはいている者の割合、芽キャベツが嫌いな若者の割合…等等。
個人的に何とかの何とかに対する率とかいう数字になぜか興味をひかれる性質でもあり、ほとんど論評も加えず調査した数字だけを提示し続けている教授の態度はとても好きです。

■検尿の器の種類
人びとが検尿の際にどのような容器で持ってくるかを克明に調査した医師アービッド・バトールの言った「自分でも理由はよくわからないのですが、私は役に立たない事柄によく興味を持ってしまうのです」というセリフに共感。p.222

■たまごっち?
「たまごっち」ってイグ・ノーベル賞取ってたんですね。知らなかった。多くの人間の時間を無駄に奪った功績によるらしく、受賞者は授賞式に出なかったそうです。出ればよかったのに。


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