よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「アルハンブラ物語」W・アービング/江間章子・訳

アルハンブラ宮殿
過去からの時をいただいてたたずむ
歴史が
すでに歴史と分かたれぬ伝説が
たんねんに語られる

土地の明るさと暗さ
情熱と沈鬱
その空気

夜は月光に美しく沈み
おそろしいまでに静まる

ひきずるようなギターは
かつて住まい
夜毎弾き楽しみ踊り語り満ち足りて暮らした
貧しき者たちの
楽か

宮殿にまつわる夢が
時を超え
石とともに宮殿をかたち作っている

(2003年02月04日読了)