よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

死の側から見た生の思い出〜「菜穂子」解説〜(1)

ISBN:4003108922
 堀辰雄さんに「小説のことなど」という文章があります。堀辰雄さんのやってきたことは、もしかするとこの文章が明確にしめしているかもしれません。
 これは、文中でも取り上げられていた「作家と作中人物」*1が、堀辰雄流に焼きなおされたものと言えるでしょう。
 おそらくそれは、彼の目指すようでなかった日本の文学に具体例として自分の作品を提示する道でした。
 彼は、彼じしんの世界は根づよく保持しながらも、あらかじめ次の世代が足にかける段の役割を自分に課していたのでしょう。

*1:邦訳ではおそらく次の本『小説家と作中人物』フランソワ・モーリャック著/川口篤・訳…ダヴィッド社・現代小説作法シリーズ ISBN:4804801243

なつかしむひと(1)

ISBN:4106006251
中村眞一郎中村真一郎)さんはさまざまな曲面を持つ、奇妙な立体です。
その中心には、子どものようになんでも知りたがる知的好奇心があるのでしょう。
ディレッタントだとは言えるのでしょう。
すべてにつきあうことはなかなか難しい。同じだけの知的好奇心量を持っていないと無理なはなしです。そんな人はめったにいないですし。
とりあえず、ぼくにも切実に感じ取れる記憶というものを探っていってみたい。