よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

「万年筆ミュージアム」渡辺順司

1. おもしろい題材のおもしろくない記述。人によってはおもしろくない題材のおもしろい記述、となるかもしれない。

2. アンティーク万年筆の商品価値見直し。アンティークとしながらもその歴史は極めて短いので限定版など特別な万年筆を取り上げふつうの万年筆は取りあげられない。

3. 自らをただの筆記具オタクではなくモノづくりを正当に評価できる目利きであるとして書いているらしい。

4. 写真がいっぱい。

5. 企画物としての万年筆。この場合の良い企画とはほぼ奇をてらったと等しいとも言える。イロモノを実現するために惜しげもなく使われる技術と時間と手間とお金。たしかに凄い。

6. 悪趣味と紙一重の万年筆たち。個人的には、欲しくなる万年筆がほとんどない。強いて上げればパーカーの「スパニッシュ・トレジャー」ないしはペリカンの「スピリット・オブ・ガウディ」、ファーバーカステル「伯爵コレクション」あたりがマシか?

7. 道具としての万年筆ではなく美術工芸品としての万年筆。この本のプランでは機能よりも付加価値が大事ということ。書名の「ミュージアム」は「博物館」のことではなく「美術館」の意味だったのだなあ。

8. 著者にとって筆記具としての万年筆にはメリットはないとのこと(機能的には)。ボクは万年筆オタクというようなものですらないが(数本持ってるだけで総額でもこの本で取り上げられている万年筆1本買うこともできない)、そうではないようには思える。いくらか慎重に書くからか、より「考える」ようになるとは思えるし、書くことの「楽しみ」があると思われる。それは道具として重要な機能かと。どんなものでも道具の最大の機能はあくまでも使うことであり、使っていて喜ばしく、そして愛着を抱けるということだろうと思う。まあ、この本の趣旨はもとより異なるわけですが。

9. すべてのページは段落の最初から始まる。

10. 検印あり。

(2011年04月01日読了)