よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

競争者

けさママチャリで走っていたら重そうなランドセルを揺らした男の子がパタパタ駆けて追い越していった。
そのていどの速度で走っている。
いや自転車で歩いているという感覚。
それがママチャリの文法。


追い越していった小学生はどうやらボクと競争しているらしい。
チラチラこちらを見ながら懸命に走ってる。
ときおり「ふぅ」と休んでは追いつかれそうになったらまた走りだす。


どこまで行けばいいのかなーとか考えながら追いぬいてしまわないようとろとろ走っていく。
しかし、
ついに彼は最後のダッシュをかけて突進した。
高架線路の下に引かれていた線に(たぶん本人の体感では)猛スピードで飛び込んだ。


そして、
「どんなもんだいっ!!」てな顔で振り向いた。
ボクはついにやにやしかけつつ無表情を装いとろとろ走り過ぎた。


そういえばボクも小学生の頃はいろんな相手と競争したなあ。
友人、歩いている大人、犬猫、空を飛ぶ鳥(ムリだって)、自分で蹴飛ばした石ころ、などなど。


男の子というものは競争したがる。
それは訓練中の生物として必要なことなのか。
たぶんそうなのだろう。


闘争心を養うこと。
負けないことを学ぶこと。
狩猟のためなのか、他の同族よりも生き延びるためなのか、メスに対するパフォーマンスの訓練なのか。
そんなところなのだろうが。