よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

ただ一冊だけの手帖

これはトラベラーズノート

どこかしら自由な雰囲気を持っている手帖。

きっちりとした使い方をしようとしたらもちろんできるけど適当な使い方の方が似合ってる。
絵を描くようにメモを取る。
そんな気分が向いてる。

使い込むほど革は傷つきしんなりと手になじんでくる。

ちょっと気ままな恋人のような手帖だ。

トラベラーズノートは畢竟ただ一枚の革にすぎない。
ちょっと厚めのしなやかな革。

これはまだ、その者のイメージする手帖のとっかかり。
手帖のかたちをした夢。
あるいはココロ。
これは永遠に、まだ存在していない手帖なのだ。

手帖たらしめているのは
「手帖」だと言われて売られているそのこと故だ。
手帖としてのリフィルが準備されているからだ。
手帖にならなくてもかまわないがせっかくなので手帖として考えはじめるだけなのだ。
そのときからイメージとしての手帖がはじまる。

トラベラーズノートではつねに選ぶことを強いられる。
リフィルを選ぶことでしだいに使うための手帖へと近寄っていくだろう。
しかし選ぶのはリフィルだけではない。
はさんでゆくものを選ばされるのだ。

なんでもはさめるのだからなんでもはさんでいるうちに色がでてくるだろう。
分厚くなりいつか「自分」がはさまれていることにきづくだろう。
もしかしたらやはり手帖ではないのかもしれない。

筆記具などの付属物もイメージするところの手帖に合ったものを探させられてしまう。
ちょっと楽しい放浪がはじまる。

とてもシンプルな構造だ。
だからこそ革の風合いが、心地よい手触りがつよく意識される。
高級感もあり、長持ちもし、いつしか愛着が湧き出てくるだろう。

シンプルだから改造する人も多いようだ。

トラベラーズノートはあなたの分身になっていく。
ココロのある手帖になっていく。
存在していない手帖を追っていくことによって。