よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

体感気温も風景の一部だ

上着を脱いだまま外に出てみた。
まだ冬という感じではない。
ぼくの感覚では晩秋ってとこか。
それでも
ちょっと寒い。

なにか記憶を刺激してきた。
耐えられないほどではないけど
凍える。
もう一枚欲しい感。
あれは・・・

北海道・野付半島のトドワラ。
ぼくが日本で最も好きな場所のひとつ。
5月か6月かに行ったときだったと思う。
風が強かった。
比較的薄着だった。
寒かった。
もう一枚引っ掛けてくるべきだったという軽い後悔。
後悔しつつも陽光に輝く木々の屍に魅了されていた。
寒くて凍えていたこそ、さらに美しく見えたのかもしれない。
他のどのときよりも印象に残っている。

寒さも風景の一部だったのだ。