よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

朝青龍さん引退?

朝青龍さんは残念。
朝刊を見て、驚きはしなかったが、惜しくはあった。
貴乃花新理事も手腕(考え)を見せるチャンスを失ったかもしれない。

のたり松太郎」をみんな楽しんでいたと思うのだけど、そこまでじゃない程度にしてもそんなタイプが実際にいるとなると許せないのかとは思う。
銅像にすらなった「こち亀」の両さんみたいな警官が実際にいるとたぶん誰も許してくれないだろう。
人は奔放さに憧れつつも、他者の奔放さは許さない。
うらやましいのだろう。やっかみということだ。それができる人間に対しての。
現実にはいないとわかっている場合のみ許せるのだろう。
許さない時代。
自分には甘いが他者は許したくない。

異質なものをおもしろがれるだけの許容力があってもいいとは思う。
品行方正な相撲取りばかりじゃ楽しくない。
品を重んじる現在の相撲界でも、「土俵がすべて」なら土俵上が横綱として見苦しくなければそれでいいはずだ。

さて、朝青龍
大相撲人気復活のカギかもしれないと考えていた。
手っ取り早い手段として。
できれば力が衰え始める前、もうちょっと前の時期に。

相撲界の構造は変えなくとも、一人のヒーローが登場すれば人気は出るのだ。
ヒーローを成り立たせるためには、まず魅力的なヒールが必須。
むしろヒールの方が重要。
朝青龍さんを完全にヒールに位置づければいいのだった。
憎まれるが最強!
そんな存在。

以下のようなことをさせる。

好き勝手やる。
土俵外の言動も最悪。
他人(横審や大相撲の理事など)の神経を逆なでする。「大相撲を征服する」とか「○×理事はバカヤローだ!」とか言ったりしてね。うーん、これだとむしろ一般受けするかもしれない。
まあ、いいか。そこはかとなくユーモラスで茶目っ気があってもいい。
その奔放さゆえに一部での人気はある。
奇抜な衣装で登場する。
顔にくまどりなどを入れる。
毒霧を吹く。
ヒール軍団を作っている。幹部や美形の怪人がいたりする。
などなど。

そこに敢然と現れたヒーロー。
白鳳さんではちょっと地味かもしれない。
日本人にとってはできれば日本人がいいのだろうし。
あの人は「日本人以上に日本人力士」らしくはあるが。
でも、ヒールが魅力的であれば、ヒーローは誰でもいいとは言える。

ヒールとヒーローの間には長きにわたる因縁がある。
ちゃんと物語を作るのだ。
私生活でも土俵上でも。
ヒールがヒーローの家族に乱暴したり、汚い手段で優勝をかっさらったり。
だいたいヒーローの方がひどい目に遭っているのだが、たまにヒールをギャフンと言わせたりはしている。
ただし、ヒーローはそこそこ孤独な方がいい。

ショッカーと仮面ライダーかな。
あるいはどこぞのプロレスですな。

そのくらいやれば面白がる人はちょっと増えるかも?
逆に崩壊するかもしれないが。
もっとも、今のかたちの大相撲なんて、そうたいした歴史があるわけでもない。
宿禰と蹶速あたりから考えるから長く見えるのだ。
神話・神事と娯楽をひとつながりに考える必要もないだろう。
多少、壊しても大丈夫。
かつて壊した故に神事から娯楽になれたのだろうから。

最初から八百長くさいから今さら八百長かどうかで文句もつけられなくなるだろうし。

ともあれ、そのための惜しい人材を失くしたものだ。