よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

3秒後の世界

自転車は3秒後の世界を走っている。
ちっとばかし未来を走っているのだ。

ほんの少しだけ先を予測して走っていることには前々から気はついていた。
あるとき、だいたいどれくらい先か頭の中でカウントしてみた。

その結果がたぶん3秒ほど。

きわめてシンプルな状況だと5秒先くらいまで読んでいるもよう。

歩行者や他の自転車たち、自動車、それらが3秒後にはそれぞれどこに位置し、互いの関係がどうなっているか。
無意識のうちに計測し予測している。

予測が的確である者ほど安心にスムーズに走れる。

でも、どうにも予測のつかないひどい動きをする者もいる。
タカをくくらない、希望的観測をしない。それも走るための資質となる。