みーこ、パックと出会う

パックこれは近所の森に住んでいるネコとけむりビルに住んでいる少女のお話。

後から聞いて、だいたいこんな感じだったかと。



みーこは、湖のほとりで白いネコと出会った。

切り株にトランプを並べていた。

とりあえず、ビシッと指さしてみる。

「あんたやねっ!」

「なっ、なんにゃ」

びっくりの目をした。

「ボクのさがしてるヤツねっ!」

「パ、パックはタビネコなのにゃー。だれかのだれかであるはずないにゃー」

「なんのこっちゃ」



パックの部屋だ。

まん中に四角い革のカバンひとつ寝かしてある。テーブルがわりのようで、コーヒー入れが携帯こんろに乗っている。

カップがひとつある。

「なんも、あらへんね」

「タビネコは欲しがらないものなのにゃ」

「ストイックやねんな」

「重いのにゃ」

「ああ、さよか」



「ボク、みーこゆうねん」

「パックはパックなのにゃ」

「ほな、よろしゅうに」

ぺこり。

「こちらこそなのにゃ」

ぺこり。



「でも」くすくす。「みーこって」くすくす。「なんだかネコよりネコみたいな名前なのにゃー」

「言うなっ」

「カワイイ名前なのにゃ」

「言うなっつーに。首しめたんぞ」

「しっ、しめながら言わないでにゃー」



こんろに火を入れた。

じきにコーヒーから湯気が立つ。

パックはカバンをごそごそやって、もひとつカップを取り出す。

「あんまり汚れてないと思うにゃ」

「あ、気にせえへんタチやから。あんがと」

どぼどぼつぐ。

ふう。

「おいしいわ」

「それはよかったのにゃ」



「ボク、人さがしてんねん」

「たぶん、見つからないにゃ」

「なんでやねん。いきなり」

「さがしているものは、見つからないものにゃ」

「へへ…。そらそうや」



冷えた空気の中でみずうみをながめながら、あったかい飲み物かかえているのは、シアワセだ。

「ねえ、パック」

猫なで声。

パックは不吉なものを感じた。

「な、なんにゃ?」

「いっぱつどつかしてくれへん」

「うにゃー。どうしてそんなことになるのにゃー」

「うーん。ボクはねえ、ボクなりにせいせいせなアカンのよ」

「にゃおーん」