よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

木木モンスター

木々がモンスターになって大阪を襲ったので逃げ続けた。

だいたい誰かといっしょに逃げていた。知り合いだったり、そうでなかったり、入れ替わりながら誰かがいた。



ビルのホールに逃げ込んだり、

高層ビルから道路に降りる超巨大滑り台を滑り落ちてスリルを感じたり、下を滑ってるヤツにぶつかったり、

目の前に炎上している車が落ちてきたり、

川に飛び込んだり、

お宮に入って座禅を組んだり。



連れの中には死んだ者もいたし、いろいろあったのだけど、最後に山に逃げようと思った。

誰かが「あっちは(木々の)本場やから危ないで」ゆうたけど、だからこそ安全かもしれないと思った。一種の賭けだった。ダメならしかたないや、と。

で、北摂から京都にいたる山に入った。

途中、十津川村あたりを歩いていたりもした(十津川村は実際は紀伊半島の南の方)。

ちょいちょい夢に出てくる禿山(モデルは岡山県の無名の山のようだが、あっちは鬱蒼としている)に、今回もよじ登ったりもした。近くに富士山があった。

ともかく、山の方では何も起こっていなかった。

森林は相変わらず平穏で、たたずんでいた。

ホッとしてぼくはへたり込んだ。

でも、ここらだっていつまで保つかわからない…。そんな不吉な予感を感じていた。