よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

『船になりたくなかった船』ファーレイ・モウワット

主人公と友人が手に入れた船はとんでもないオンボロ船。
それでも、おかしな連中の手をわずらわせ混迷の深みにはまりつつもなんとかかんとか修理しましたが盛大に漏れるわエンジンは言うことをきかないわ羅針盤はあらぬ方角を指すわ…。

でもまあ、ともかく…、行くんだ!
熱帯の島へ!
無理無理。行くなよ!!

血わかず肉踊らない。

可笑しかったりしみじみだったりやけっぱちだったりする足かけ8年にわたるらしい大人のためのゆるい冒険小説。

(2006年05月26日読了)

はてな年間100冊読書クラブ

事典になりたくなかった事典を下に置きます。


アイリッシュ・コーヒー】マイクお手製のコーヒーは水の代わりにラム酒だけでいれたコーヒーだった。これが真のアイリッシュ・コーヒーだ、だとか。
アルバート】黒いウォータードッグ。クレアが見つけてきた。
【イッチー】→ハッピー・アドベンチャー
【ウィルバー】パッション・フラワー航行中に拾った帆船の船乗り。主人公ととても気が合ったのには理由がある。
【エナーチョス・コフィン】船大工。枯れ木のような男。むかしはブイブイいわせていたが今は飲んだくれてる。まあ、この話の登場人物はだいたい飲んだくれてる。通称エノス。
【競売】参加するとのちに困ったことになるイベント。
【エノス】→エナーチョス・コフィン
【カナダ】1967年がイギリス領北アメリカからカナダになってからの百年祭。でもこの辺の人にとってはニューファウンドランド島が州になった1949年がカナダになった年なのでまだ16年。
【霧】霧は必ず出る。
【鯨】鯨が打ち上げられてそこで死ぬと近辺はしばらく人が住めないようになるらしい。腐るのに時間がかかるからだろうか。だから皆必死で鯨を押し出そうとするらしい。そうしてプッシュ・スルーとついた地名もある。
【クレア】トロントから来たブロンド娘でイッチーの乗組員になる。なんでわざわざこんな船の?
【グレン・ウィルソン】ジャックの手配した新たなメンバー。元はアメリカ陸軍の一等兵で世界を放浪しているらしい。
ジーニー・バーンズ号】二度と会うことはなかった…。
【ジャック・マクレランド】友人。出版社経営。ロマンチストだがそう言われると怒る。とりあえず他人に命令する。都会的だがけっこう不屈な男。
【商人】セントジョンズの商人はみんな金持ちなので客と顔を合わせるのをいやがり追い詰めてもなかなか商品を売ってくれない。たぶん店にあるものは非売品のコレクションなのだと思う。ある日、買い物リストに80あるうちの6つ手に入れることができたとしたらそれは奇跡的な絶好調ということになるらしい。
スクーナー】2つか4つの帆がある帆船。
【スクリーチ】悪酔いさせる酒。
セントジョンズニューファウンドランド島の首都。漁師たちから絞りとった財産で大きくなった。
【セントピエール】トレパシーより220キロ西にある島。熱帯の島々を断念したハッピー・アドベンチャーの新たな目的地。ラムの値段が安いと思われるので選ばれたのだろう。フランス領。
【テオフィル・デシュペリー】「オレゴン」の船長。主人公の友人。通称テオ。チャーチルロンメルを合わせたような男。壊れた動かない羅針盤で正しい航路を走れる超絶的な技能を持っている。
【平底船(ドーリー)】よくわからないが名前からすると船底が平らなタイプの船なのでしょう。すぐにイメージできるところでは上陸用舟艇や川を行き来するだるま船ですがこのはなしからすると大型客船でもあるようです。挿絵で見ると小さな漁船のような、公園のボートの大きなヤツのような感じ。竜骨のないタイプをいうようです。
ドルマン】バージェオの住人。親から辞書を受け継いでいる役立つ人。ただしその辞書はポルトガル語で書かれておりドルマンはポルトガル語が読めない。時々来るポルトガル船を待つのだがそれで充分。スローライフですね。
【トレパシー】霧の港町。晴れることはない。のに、晴れるのを待ってしまった。魚工場からの汚水砲撃のある町。
ニューファウンドランド島】世界の中心。カナダにある大きな島。だいたい北海道と九州を足したくらいの面積。ニューファウンドランド州はこの島とラブラドル半島東部からなるが、この州はほぼ日本と同じくらいの面積を持っている。何世紀も前においぼれトナカイがつけた筋を道と称している。
【バージェオ】漁村?メサーズコープにある?ともかく、いごこちがいいのでそこの住人になりかけた。ここの人々は泳げない。水温が低いので泳ぐということは自殺することと等しいから。
【バデック】金持ちの金ピカのヨットがいっぱい。
パウロ】セントピエールの造船所の男。あいさつに酒の好みを聞いてくる。
【パッション・フラワー】ジープに見せかけた船(もしくは船にみせかけたジープ)。少なくとも、帆のついたジープには見え、陸を走るのだが、存在としては船なのだ(ろう)。帆で走るのだろうか?主人公の十年来の相棒のおんぼろジープ(に見せかけた船)。フェリーの中で大暴れするのが趣味。
【ハッピー・アドベンチャー号】ハロハン兄弟から買った船。気色の悪い緑色をしているがかたちはかわいい。全長9メートル30、幅2メートル70、喫水1メートル20。旧石器時代に手斧で削られたような素朴な味わいある雑な作り。元は漁船として作られた可能性もあるがよくわからない。とりあえずスクーナーに改造。のちにバスク商船団(なんじゃそりゃ?)の旗船(フラッグシップ)となり「イッチャッチョザーレ・アライ」という名前も持つことになった。即座に「イッチー」と改訂されたが。東に行くときは快調だが西に行こうとすると抵抗するようになった。
【ハロハン兄弟】マイクとパディの二人。「南の浜の怠けもん」と呼ばれる船の持ち主。
【ハロルド・ホーウッド】ニューファウンドランドの漁師と漁村については誰よりもくわしく本土の人間が嫌いな男。
【ハワード・モリーニューファウンドランドのいい部分を体現したような男。
【ビュリン】港町。最もあたたかい心の持ち主たちの町。現状で満ち足りて暮らしているが唯一現在の政策には不満を感じている。みんなモウルトンさん。
【フランス人】フランス領にはフランス人がいる。ちょっとええかげんでがめつい人種。大もめにもめた相手とでも久しぶりに再会すると旧友のように酒を酌み交わすことができる。
【ブランシュ】セントピエールの造船所の犬(女性)。黒くて胸元だけが白い。だからブランシュ(白)と名づいているわけではないらしい。気持ちのきれいな犬。造船所の仕事を手伝っている。近隣の犬のボス。
【ブルジン】ハッピ・アドベンチャーのエンジン。ブルブル唸るのでこう名付けられた。言うことをきかない上に唸り声がデカい。
【マイク・ドノバン】頼れる男。ドイツのV2ミサイルを潜水艦だと言い張ってカナダに持ち帰った豪傑。現在図書館長。最近「白鯨」を読み返したので鯨捕りにあこがれている。ジャックが自分の代わりによこしたが船乗りとしてはまったくの素人。
丸干し】鱈の丸干しでマイクに言わせるとゴルゴンツォーラに似た味だそうでそれを食するとマイクは吐く。
【密輸】フランス領からカナダ領へお酒を密輸しようとするのだが前後の状況からする禁酒法の関係ではなく単に関税を払いたくないということのよう。ともかく、当局につかまるようなことだとは知っているが密輸そのものは悪いことだとは(誰も)考えていないようだ。
【南の島の怠けもん】ハッピー・アドベンチャー号の元の名前。
【モンティ・ウィンザーウィンザー家の末裔。セントショッツのアクアフォルト港に住んでいる。思慮ぶかいおだやかな男。ハッピー・アドベンチャーのマストにする木を所有の神聖な森から伐り出させてくれた。今は船に乗っていないが代々の船乗り。
ラム酒三カ条】(1)壜を出したらすぐ栓を開けること。(2)開けた栓は二度と閉めないこと。(3)開けたらすみやかに飲み干すこと。
【ラルフ・ピノー】船大工のピノー兄弟の一人。ハッピー・アドベンチャーに泥パックをさせた天才。
【漁師】ニューファウンドランドの漁師が楽天的なのは《この島をカモメとアザラシに返》さないためには必要だった資質�