よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

『The MANZAI』あさのあつこ

どの版で読んだのやらさっぱりわからなくなった。1巻目、5巻目、6巻目はこれで間違いないのだけど。

あのあさのあつこさんがこんどは圧倒的なツッコミ力を持つ漫才の天才少年の孤独を描く。

・・・ではなく。

つらい過去を持つ転校生の歩くんに一目ぼれしたとラブコールしてきてあわてさせたのはクラスメートでサッカー部でガタイのいい秋本くん。

なぜか漫才の相方を探してたらしい。

巻き込まれているうちに文化祭の舞台でクラスのだし物としてロミオとジュリエットを題材にした漫才をすることになり、しだいに自分の中のコリのようなものが解きほぐされていくのを感じる。

あこがれのメグさんには「秋本くんは渡さないわ」と眼の敵にされ、学校の妨害を受けつつもさあ文化祭に向かってみんなで進むんだ!!


「なんでて、おもろいやつが一番やないか」そう言って秋本くんは歩クンにアプローチしてきますが、たしかに関西人はだいたいそう思っているかもしれません。
ぼくはごくふつうの関西人ですがそれでも日常的にウケを狙おうとしてるとこあるかもねえ。
友人と二人で東京に行ったときなんか、ふつうにしゃべってるだけで漫才になってるって言われたし。
どうやら関西人の血肉になっているらしい漫才を題材に中学生の悩みや青春を描くというのもなかなか楽しいですね。
すぐ読み終えられる短さですし、気持ちのよい作品でした。

(2006年05月21日読了)

はてな年間100冊読書クラブ





あさの あつこ,鈴木 びんこ
ジャイブ
発売日:2009-07

若いってええなあ。
というような作品。

なんやおもろいんやけど。

「チーム・ロミジュリ」の仲間たちと初詣に行った歩クンが、ちょっととんでもない目に。

大人が、子どもの頃を思い出しながら読むのがええのかもしんない。

(2010年09月06日読了)


この巻についての10項目。

-作者いわく最終巻らしい。
-秋本クンに一大事。

これ以降はシリーズ通して同じ。

-漫才。日常会話も。内面の独り言(モノローグ)も。
-おもろいやつが一番やないか。
-歩クンの成長物語。あるいは人生へのリハビリ。
-押しの強い秋本クンだからこそ歩クンは救われる。
-愉快な仲間たち、正式名称「チーム•ザ•ロミジュリ」。
-本人的には漫才なんて拒否している歩クンは自分が本当に漫才やりたいのかどうか悩み続けている。
-いつもオウンゴールの歩クン。
-ひとつの巻ではあまりいろんなことは起こらない。


ロミジュリに関する簡単なリストを下に置きます。


【秋本貴史】いきなり歩クンに交際を申し込んだ。からだもデカくサッカー部でもそこそこの選手。かんじんなことを言わない(あるいはかんじんなことだけしか言わない)タイプ。ボケ役。《なんでて、おもろいやつが一番やないか》(p.33)
【井野原亜美子】クラスメートの女の子。衣装係。メークのアミちゃん。マッピルマという名前の犬の散歩をしなければならない。
【江河政志】担任。英語教諭。通称エガちゃん。「だからね」と言う口癖とため息が特徴。気の弱そうなショボイタイプ。最近角野先生にフラれたともっぱらのウワサ。灘の大きな酒造の息子。《生徒に泣かれるより、校長にねちねちやられるほうがまだ、ましや。覚悟をきめた》(p.137)
【おたやん】顔の丸いオバハンがやってるお好み焼き屋。秋本の実家。
【母さん】おじさんのスーパーでポップのような仕事をしている。おじさんとは仲良しの兄妹。
【一美】歩の姉。父親といっしょに交通事故で死亡。
【角野真由美】国語の先生。美人らしいが少しうっとうしいとこあり。
【狩野】小学校のときの友人。
【篠原】クラスメートの大柄な女の子。神様みたいに人がよいらしい。ピアノが弾ける。
【瀬田歩】主人公。中二生。カワイイ顔をしてるみたい。ツッコミ役。
【高原有一】クラス委員。しっかりしている。成績も抜群。嘘も隠れもなく森口のことが好き。もう小学生の頃から好き。永久に尻しかれ状態でもかまわない。最近は歩クンと森口さんの関係にちょっとやきもき。
【堂島】小学校のときの友人。
【父】交通事故で姉の一美とともども死亡。
【トドメス】秋本んちの猫。トドみたいなメス。最近6匹の子どもを生んだ。
【野崎藍那】クラスメート。名前だけが珍しい目立たない女の子。衣装係として才能を発揮する。歩クンが着ることになったすてきなドレスは彼女のお手製。《なんかね、あのね、衣装、瀬田くんに着てもらうと、すごくすてきなんやもの》(p.192)。このままお話が続くと歩クンのGF候補No.1かもしれません。
【萩本恵菜】みずから発光している少女。図書委員。歩クンのあこがれ。でも彼女は秋本の幼なじみであり歩クンに露骨なライバル心を向ける。
【蓮田伸彦】クラスメート。サッカー部では秋本とともにツートップを張る。ベースギターができる。
【藤川】巨人の(今はヤンキースの)松井にそっくり。声がとてもいい。
【ポンスケ】飼っていた白い犬。父さんと姉さんの初七日の朝死んだ。
【森口京美(ことみ)】クラスメート。文芸部。禁断の愛にあこがれるクラス委員。実行力があり彼女を中心にクラスは文化祭に向かう。《瀬田くんは気にせんかてよろし。わてらは浪速の商人の血ぃひいてますのや、まかせときなはれ》(p.194)。高原クンの存在がなければ歩クンのGF候補No.1かもしれません。
【余裕】《少しばたばたしなくなったのはほんとうかもしれない。自分の中に生まれたもの、怒りとか恥ずかしさとかうれしさとか情けなさとか、そんないろいろなものを、ばたばたあわてて、打ち消さなくなった》p.147
【連城】クラスメート。柔道部員でありオカリナを吹く。
ロミオとジュリエット】一歩間違えたら喜劇になったはずの有名作家の有名悲劇。今年の文化祭で二年生にあてがわれた題材�