よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

五ひきのもののけ

あやしいゆうて評判の寺で旅の坊さんが一夜を過ごすことになったんやけど出るわ出るわで五ひきものもののけがやってきてあれやこれや脅かすのにぜんぜん動じてくれへんからあきらめて夜明けには帰ってもうたんやけど坊さんなかなか食えんお人でもののけどもの正体を見極めよったんやね殺生はアカンが仏法のためやとかなんとか抜かして檀家の連中に命じてぜぇんぶ退治してもうて自分はちゃっかりそこの寺に居ついたりしたんやて。(江戸怪談集・上より)