よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

浮いたのだろうか?

じっぽ

いつだったでしょうか。かなり以前、山の中を歩いていました。たぶん琵琶湖のほとり、比良山系のどこかの山だったと思います。
左右にぼくの背よりも高いヤブが続いていました。たしかここらから突っ切ると滝があったはずだよなあと、気まぐれで見に行くことにしました。困った性格で、ヤブなど迷いやすい場所があるとつい行ってしまいたくなるのです。迷いたくなるのです。
んでまあ、ヤブに突入しました。かなりのスピードで進んでいると、水の音が近づいてきます。そのとき、いきなり目の前の視界が拓けました。そして、足の下に何もない感覚が…。崖を飛び出したのです。下を見ると、30メートルはあろうかという崖。滝壺がありました。ちらと横を見ると崖の際に細い木が一本。おおあわてでそれにしがみついて、なんとか落ちずにすんだのですが…。
と頭の中では宙にしばらく浮いているような雰囲気の感じになるのですが、現実には(たとえばだれかが見ていたら)、崖から飛び出しそうになった瞬間にすでに木にしがみついていたのでしょう。でもぼくの意識の中では、空中でキョロキョロした印象なのです。
それとも超高速で脳が働いたのでしょうか?