よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

クールにいこう(3)やはりミステリなのだ!!

 にも関わらずミステリが成立しているのは、おそらくこれは推理ではないからです。事件もトリックも、実はどうでもいい。おざなりとすら言えるかもしれません。ロジックを積み重ねて真相に到達するタイプではないので、かまわないのでしょう。
 描かれるのは発想のぶつかりあいなのです。答えに導かれるため、先入観の打破、発想の転換だけが大事なのです。一種の、紙上の実験とさえ言えるでしょう。思考実験なのです。
 発想を転換することによって、この答えしかないとなったらそれが正解なのです。「そら、現実には無理やで」とか「アホくさ」となってもノープロブレム。それが正解なのです。怒ったりしてはいけません。
 まあ、多かれ少なかれミステリ小説にそういうところはありますが、森博嗣さんの場合は特に純粋なような気がします。だから、無理無理な感じでも、納得できます。さほど腹立たしくないのではと思います。先入観念にとらわれてた自分のせいなのですから。ちなみに、僕はS&Mシリーズの正解率は10割です。発想パターンが作者と似ているみたいです。

 もちろん、現実感のない不思議なキャラクタたちの織りなす不思議な雰囲気は大きな魅力です。ミステリ設定のうまくいってなかったり陳腐だったりする回でも、これによって楽しく読むことはできますから。

 ※この章、我ながらまだ未整理ですね。もう少し考えてみます。