よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

岡本綺堂「中国怪奇小説集」

中国綺譚のコンビニ。

聊斎志異』と同一線上にある本でしょう。
サブセット版というか、縮小版というか、そんな感じです。まあ、読んでみるとけっこう異なるのですが。

この本は、常に傍らにあります。
今は・・・たとえば、電車に乗ってる最中に、たまたまそのとき読んでいた本を読了してしまって、あとの道中読むものがないときなんかに、おもむろに鞄から取り出して適当にページを開いたりしています。

中国の綺譚がいっぱい、コンパクトに詰め込まれています。
枠物語があって、その中で紹介されるというような形になっています。

聊斎志異」の中の、比較的長い話のような豊かな物語性はないのですが、あっさりしたたくさんの不思議話が入っているのです。その点では、ブルフィンチの「ギリシアローマ神話」なんかも近いかもしれません。
ちょっと読んで、ぼーっと想像力を働かせて、頭の中で物語を膨らませたりします。話が素の形で提供されているような感じで、その余地があるのです。

ずっと旺文社文庫版を大切にしてきましたが、品切れです。何度も読んで、かなり痛んできました。
でも、幸いなことに光文社文庫から出ています。こちらの方が海音寺潮五郎さんの序文がついてたりして、お得かもしんないのでお薦めです。
ぼくも、持ち歩き用に一冊買いました。