よはくのてちょう

手帖の余白に書くようなことを

最近気に入ったセリフ

この地上では あらゆる不幸が わたしを襲う……(皇妃エリザベート 名香智子 講談社+α文庫)

やつらの目的は、不可思議な犯罪をこの世にもたらすことそのものなんだ。犯罪を犯すことそれ自体によって、やつらは変えようとしているのさ(紅天蛾 太田忠士 講談社ノベルスp.110)
 ★こいつらの手段は過激やけど、どっちかゆうとぼくもそっちに与する者やなあ。ちょっと応援したくなりました。

この世に、客観的事実などというものは、ない(紅天蛾 太田忠士 講談社ノベルスp.153)
 ★蘇芳のセリフ。これも同感やなあ。ぼくもべつに天動説が正しいなんて思ってないし。世の中べつの法則もありうると思ってるよ。たとえば、もう一度ビッグバン(的なもの)が起こって新しい宇宙(世界)が発生したらそれはまったく異なる法則(たとえば魔法)に支配される宇宙かもしれないと聞いたことがあります。ビッグバンが発生しなくとも、異なる目で見ると異なる世界であるかもしれない。

「その夜回りの口、それがしが代ろうか」と又八郎は言った。「そういう危ない仕事は、独り者に似合いそうじゃ」(用心棒日月抄 藤沢周平 新潮文庫p.45)
 ★こういうセリフがさらっと出てくるキャラクタが藤沢さんの特徴だなぁ。いさぎよく、さっぱりしているものです。

最近気に入ったセリフたち

もちろん、調べれば分かる。でも調べない。(『Bolero』吉田音筑摩書房p.23)

★うんうん、大事な態度です。

「そう、探偵というのはね、事件があって呼び出され、『さぁ、それでは』って推理するだけでは本物とは言えないんだ。なんら事件なんて起きてないけれど、何か怪しいなと思ったら自分で輪郭をつける。そして、ついに事件そのものを浮かび上がらせてしまう。これが本物の探偵だよ。だから本物の探偵と犯人とは紙一重ってことになる」(『Bolero』吉田音筑摩書房p.24)

 ★はた迷惑な存在ってことですな。でも、そうやけど。「探偵による最後の殺人」なんてことをビュトールあたりが書いてたと思うけど(探偵が犯人を社会的に抹殺するというような意味で)、だいたいにおいて探偵は、よけいなことをやってるわけで。自分の楽しみのために。

「もしかして、別の猫と入れ替わってたりして」(『Bolero』吉田音筑摩書房p.25)

 ★猫とはそういうものですね。

長瀬君は「そのうち分かる」のがなんだか怖くなってきて…(『Bolero』吉田音筑摩書房p.32)

 ★なんでも、知らない方が楽しいですよね。

カタカナで記録された一日は、なぜかしら不思議な歪みを見せるように思える。(『Bolero』吉田音筑摩書房p.35)

 ★カタカナで日記を書くことになった長瀬君。この感じはわかります。これが石川啄木みたいなローマ字の日記だと、たぶん歪まない。そのままでは読めないから、頭の中で変換しないといけないので。カタカナという、読みにくいけどなんとかダイレクトに読めるという中途半端さがいいのでしょう。中途半端ってステキです。

「スパイスとは、小さな爆弾である」(『Bolero』吉田音筑摩書房p.36)

 ★なるほど。

少しくらいノイズがあった方がいいんだ。(『Bolero』吉田音筑摩書房p.59)

 ★そういう人多いと思う。CDよりアナログ盤の方がいい人なんか。

あのレコードに収めた私の歌は、私の個人的な夢でした。あのころ、誰よりも私自身がそれを必要としていたのです。(『Bolero』吉田音筑摩書房p.106)

 ★ええセリフやなあ。ぼくにも、ぼくじしんの必要だけで書いてる文章があるけどね。いまだにね。死ぬまでね。

ファンタジーというのは、じつは日常を知らないと生まれないものだと、あとになって気付きましたよ(『Bolero』吉田音筑摩書房p.108)

とにかくここは、世界でいちばん幸せな屋上なんだと、私は誰かに電報でも打ちたいような気分だったのである。(『Bolero』吉田音筑摩書房p.112)

「ものは考えようです もし証拠をつかんだら 今度は校長室によんでエンエンと説教しなきゃならないんですよ」
「ザルで水をくむような作業だ 考えただけで寒気がする!!」」(『ペパミント・スパイ佐々木倫子

 ★禁じられているアルバイトをしているドナルドくん。スパイ養成学校の校長はハラハラ。ここまで期待されていないと、むしろ無敵っ!!

「プレッシャーに負けて失敗するのが一番ばかばかしいと思う それよりは 実力で失敗するべきだ」(『ペパミント・スパイ佐々木倫子

 ★ドナルドなんかにさとされてしまう皇太子妃直前のキャロライン。プレッシャーのかけらも感じないドナルドはええよねえ。

「ぶわぁあん!また変な人が増えた〜!!」
「正しい意見ですグンマ様ッ」(『南国少年パプワくん(7)』柴田亜美

 ★最後の巻になって、まだ出すか、変な新キャラ。

このホテルはむしろそういう不便さを売り物にしているらしい。(建築探偵桜井京介の事件簿(6)美貌の帳 篠田真由美 講談社NOVELS p.52)

群衆を憎む、と。しかしそれはなんという無力な、なんという無意味な憎悪だろう。祭りは終わったのだ。もはやどこにも群衆などというものはない。憎むべき顔もなければ名前もない相手。(建築探偵桜井京介の事件簿(6)美貌の帳 篠田真由美 講談社NOVELS p.120)

間もなく訪れようとする魔法の時(建築探偵桜井京介の事件簿(6)美貌の帳 篠田真由美 講談社NOVELS p.149)

 ★舞台開幕直前。どきどきするよね、そんなときって、いつも。いいなぁ、「魔法の時」。まぁ、月並みな表現なのかもしれないけどさ、この言葉がぴったりの時間だなぁ。

忘れない。でも囚われない。そのために。(建築探偵桜井京介の事件簿(6)美貌の帳 篠田真由美 講談社NOVELS p.182)

 ★自分のあやうさに向き合う気になった蒼くん。もうあるていどだいじょうぶやね。

だが彼はそのような幻想に依ってでなくては、生きられなかったのだ。たった四十年さえ。

 ★ルードヴィヒ二世のこと。いくらかぼくにもその気質はある。もっと安上がりで、100パーセントの幻想世界を作ろうとも思えないが。ゲームでも、本でも、そこにあるのは幻想だ。

頼れるものがなにも無くなったときこそ、人間って強くなれるのよ。

 ★傷心の暁のことを朱鷺が語るセリフ。ぼくは頼れるものを自分から捨てるようにしてきたけどね。むしろ、弱くなるためにかな?でも、それが強くなるゆうことかもね。

他人の無茶をたしなめるなんて、以前のおまえのキャラクターにはなかった(新宿少年探偵団(4)紅天蛾 太田忠司講談社NOVELS p.26)

 ★分別臭くなった羽柴壮助クン。いろいろ命の危険があったからねえ。それでもいちばん無茶な存在をやめてほしくないもんですが。「多少の無茶は、承知の上だ」ってね。

だって「お帰りなさい」って言葉、なんだか暖かく好きなんだもの(新宿少年探偵団(4)紅天蛾 太田忠司講談社NOVELS p.35)

食べることと悩むこと、一緒にできるはずがないだろうが(新宿少年探偵団(4)紅天蛾 太田忠司講談社NOVELS p.43)

おまえの頭は一日に百文字以上受け付けないんだろうから(新宿少年探偵団(4)紅天蛾 太田忠司講談社NOVELS p.49)

波風立ててやろうと頑張ってるのさ。ま、地道な努力ってやつだね(新宿少年探偵団(4)紅天蛾 太田忠司講談社NOVELS p.105)

ぼくはただおもしろがりなだけです。

建築探偵桜井京介の事件簿「灰色の砦」篠田真由美講談社ノベルス p.42

読みはじめた。これまででいちばん読みごたえありそうな予感。
ぼくもおもしろがりなんですよねえ。どんなシチュエーションでも、どこかおもしろがっている。だから記憶にあるかぎりで腹が立ったことがない。一見おだやかなヤツってわけだけど、じつは鼻持ちならないよねえ。ホンマ。
こうやって自分を守っているとも言える。だから、このセリフ吐いた高校生クン、殺人者の資格ありかもね。守りきれなくなったら、そこにあるものはとても弱い。

夜はあまりにも

寝て過ごすには、夜はあまりにも貴重だった。(イーグルストライク アンソニーホロヴィッツ 集英社p.178)

共感です。とはいってもぼくの場合は寝るかわりに無為に過ごすのですけどね。無為が大事。

仙去とは

仙去とは屍体をあとにとどめずに他界することで、この術を体得した者を尸解仙(しかいせん)と称する。即ち大仙の証しである。(大仙人 舟崎克彦 p.33)

 いいですねぇ。こんな死に方が理想かな。でも大仙人にならへんとアカンのかぁ。